先シーズンの故障から復帰し、GPシリーズアメリカ大会で優勝。全日本選手権でも優勝と、日本の女子シングルのエースとして完全復活を果たしたフィギュアスケートの宮原知子選手。しかし、平昌五輪直前の、四大陸選手権では3位となり、表彰台を危ぶむ声が出ている。
「不安の1つは回転不足です。宮原選手はジュニア時代からジャンプの回転不足が課題の選手でした。全日本ジュニア選手権では優勝するほどなのに、世界ジュニアで無冠なのも回転不足が原因の1つでした。復帰戦のNHK杯でも回転不足と判定されており、これをクリアしなければ強いロシア勢や欧米選手に伍していくことはできません。もう1つは、今シーズンの宮原選手のプログラムです。SPで『SAYURI』を、FSで『蝶々夫人』をセレクトしていますが、どちらも日本の女性をテーマにした音楽から喚起されるイメージがとても似ている曲目。特に五輪イヤーの曲の選択では、印象の違う曲を選んで演技の幅の広さを見せることも大事だと言われています」(スポーツライター)
募る心配を払拭するのが、宮原選手の技術の高さだ。
「解説者の鈴木明子によると、宮原選手は女王と呼ばれるメドベージェワ選手やザギトワ選手とジャンプの基礎点が近く、技術的にも大きな違いがないそうです。ステップなどそのほかの要素でもレベル4が取れれば十分にメダルの可能性があり、あとはどの選手も完璧にプログラムを滑りきったうえで、さらにどれくらいの加点が得られるのかが勝負になってくる。四大陸選手権では完璧な演技ができず悔しい思いをしましたが、練習熱心な宮原選手のことですから、課題をしっかりと解決して本番に合わせてくるでしょう」(前出・スポーツライター)
濱田美栄コーチが太鼓判を押すほど練習を重ねる宮原選手。最高の演技と最高の笑顔を期待したい。
(芝公子)