ケガからの見事な復活で66年ぶりの五輪2連覇を達成したフィギュアスケートの羽生結弦選手。通常ならノーミスでなければ納得しない完璧主義だが、さすがに今回ばかりは細かなミスのあった滑りでも大きな安堵の様子を見せ、それほどケガの状態がギリギリであったことをうかがわせた。
だが、羽生選手が本当に欲しかったのは、平昌五輪の金メダルだけではなかったのではないかという声も。
「もちろん、羽生選手も自分のできる精一杯を出し切った演技、そして金メダルという結果に満足しているはずです。しかし、ケガをするまでの羽生選手が目指していたのは、五輪の2連覇だけではなかったのではないでしょうか。ソチ五輪の年の羽生選手は、GPファイナルの優勝、ソチ五輪の優勝、世界選手権の優勝と3つの金メダルをそろえています。羽生選手は、今回も3つの金メダルを狙っていたはずです。しかしケガのため、出場できるかどうかもわからない平昌五輪で2連覇を果たすことだけに絞らざるを得なくなったのです」(スポーツライター)
ケガの翌日、羽生選手がGPシリーズNHK杯を欠場することが発表された際、帯同していたブリアンコーチが「結弦はショックを受けて泣いていた」とコメントしていた。それは1つの大会を欠場するだけではなく、GPファイナルに出られない、自分の秘めたる究極の目標が達成できないことに対する涙だったのではないだろうか。
とはいえ、平昌五輪での羽生選手の金メダルは、その感動の演技を世界が認めたことに対して贈られたもの。その輝きが唯一無二であることに変わりはない。
(芝公子)