吉岡里帆がヒロイン役を務めるドラマ「きみが心に棲みついた」(TBS系)に、聞き捨てならないセリフがあったとして女性視聴者から疑問の声があがっているようだ。3月13日放送の第9話は「復讐のパワハラ裁判」と題し、大学時代から恋人の吉岡をDV的な言動で支配してきた向井理が、ハラスメントの張本人としてやり玉に挙げられる場面が展開された。
向井を告発する怪文書メールを発端に、二人が勤務するアパレルメーカーでは社員に対する聞き取り調査を実施。この調査にて、吉岡が発表会でアンダーウェアのモデルを務めた件について「星名さん(向井)が強制的にやらせていたという情報がありますが?」と質問されると、吉岡は「違います。強制されてやったわけじゃありません。最終的には私の意思で歩きました。だからこれは私の問題です」と答えたのである。
さらに同僚から、なぜ向井をかばったのかと訊かれた際には、「私がきちんと断ればよかった話なんです」と答え、責任は自分自身にあると説明。この一連のセリフについて女性誌のライターが語る。
「これは、加害者に心理的に依存するDV被害者が発する典型的な言い訳です。精神的に支配されたDV被害者は内省的になってしまい、自分を責めがちになるもの。この回では新たな恋人の吉崎(桐谷健太)から『依存する相手が俺に代わるだけなんじゃないかと思う』と別れを切り出され、それをキッカケに吉岡が自立するというストーリーのようですが、心理的な抑圧をテーマに据えるなら、吉岡にこんなセリフを言わせるのは避けるべきでしょう。制作側の意図はわかりませんが、DVやハラスメントについて無理解と言われても仕方がありません」
本作品では男女二人の脚本家を起用しており、この第9話は男性脚本家が担当。それがこうした内容になった可能性もありそうだ。
「ハラスメントの聞き取り調査を個人面談ではなく集団で行う点も異様です。おそらく、同僚が吉岡のセリフにリアクションするシーンを描くために、集団聞き取り調査を設定したのかもしれません。しかしあまりに現実離れした脚本や演出は、かえってハラスメントに対する誤解を広めるだけ。それに加担させられる吉岡も可哀想ですよ」(同・女性誌ライター)
演者である吉岡自身に罪はなく、むしろ彼女自身がハラスメントの被害者なのかもしれない。
(白根麻子)