日本時間の9月4日、カナダで開催されていた第42回モントリオール世界映画祭でワールド・コンペティション部門に出品されていた「終わった人」で主演した舘ひろしが最優秀男優賞を受賞した。同賞は1999年「鉄道員(ぽっぽや)」に主演した故・高倉健が受賞して以来19年ぶり2人目の快挙だ。
内舘牧子氏による同名小説が原作のこの映画で、舘は定年を迎えたサラリーマンをコミカルに演じた。同日に都内で会見を開いた舘は「私が信じていないのは自分の芝居。野球で言えばボールが来て、バットを出したらホームランになっちゃった」とお茶目なジョークで会場の笑いを誘った。
「舘はこの日、自身の定期健診だったことを忘れていたそうで、事務所から吉報が入り『病院に行くことのついでのように、モントリオールで何か獲ったみたいです』とも語りました。高倉健に続く19年ぶりの快挙と言われていますが、会見場に現れたのはたった1人、舘ひろしだけ。舘の妻を演じた共演者の黒木瞳も、製作サイドの人間も、誰もいなかったところを見ると、これだけ大きな賞を受賞できるとは誰も思っていなかった証拠でしょう」(映画誌ライター)
岩城滉一とともに原宿・表参道を拠点とした硬派バイクチーム「クールス」のリーダーだった舘。矢沢永吉がリーダーだったロックバンド「キャロル」の親衛隊として有名となり、1975年9月にバイクチーム「クールス」からの選抜メンバーで結成された同名ロックバンドのボーカルでデビューした“とっぽい兄ちゃん”だった舘が、日本を代表する名優になったことは快挙と言えるだろう。