成長期の子どもは、体が小さくても大人並みに栄養が必要です。例えば、厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2015年版)」によると、10~11歳の子どもは男女ともに、20~40代の成人女性よりもエネルギーを必要とするのだそう。では、成長期の子どもの食事で注意すべきことなどはあるのでしょうか。医学博士・管理栄養士の本多京子さんに、お話をうかがいました。
■子どもの成長に必要な栄養素を摂取できていない家庭が多い!?
エバラ食品工業は、小学生の子どもを持つ20~40代の女性(240人)、20~30代の働く女性(238人)、60歳以上のシニア(241人)を対象に、「食事と栄養に関する意識と実態の調査」をインターネットで実施しました。調査の結果、小学生の約4割にあたる37.1%が“痩せ傾向”にあることがわかったそうです。このことから、“子どもは大人の半分くらい”と適当に考えて、必要な食事量を与えていないケースも多いので注意が必要と指摘しています。
また、「基礎調味料をうまく使いこなせない」と感じている人は、標準体形の子どもを持つ親と比べ、痩せ傾向の子どもを持つ親の方が2倍以上多いと判明。さらに、「料理のレパートリーが少ない」と感じている人は、標準体形の子どもを持つ親と比べ、痩せ傾向の子どもを持つ親で1.5倍以上、肥満傾向の子どもを持つ親で2倍以上も多かったといいます。
■品数が多くても栄養素は不足気味という実態
同調査で夕食の写真を撮影し、食べたメニューを記入してもらった結果、家庭の手料理で品数も多い傾向が見受けられた一方で、野菜が不足気味になっており、全体的に栄養バランスに偏りがあることがわかったそう。これでは、血液や筋肉の生成に欠かせない鉄分や、消化・吸収、骨の生成に必要なビタミン・カルシウム・ミネラル類が不足してしまいます。
■栄養バランスを整える「トリプル野菜」の摂取を
多くの家庭で不足していた野菜の摂取量の目安は、一食当たり“両手のひらに山盛り1杯”分。レタスやキャベツなどの葉物野菜ばかりでは栄養素が不足するため、かぼちゃやブロッコリーなどカロテン類、ビタミンC、食物繊維を多く含み電子レンジ加熱で簡単に食べることができる“レンチン野菜”、トマトやピーマン、大根、きゅうりなど切るだけで生のままおいしく食べることができる“切るだけ野菜”を、それぞれ同じくらいの分量ずつ食べるのがよいとされています。
そうすると、自然にビタミン類や食物繊維などの栄養素をバランスよく摂取することが可能になります。子どもが好きなお肉などのたんぱく質が豊富な食品は、片手分(約100g)を目安にし、塩分や脂質の過剰摂取とならないように、ドレッシングやソースなどの味付け調味料を入れ過ぎないように注意するといいそうです。
体が小さい子どもだからこそ、大きくなるのに必要な栄養素を不足させないよう、食事に野菜を取り入れたいものです。トリプル野菜やたんぱく源のバランス・必要量を意識して、ぜひ日々の食事を楽しんでください。
(美容・健康ライター Nao Kiyota)