9月7日に放送されたトーク番組「A-Studio」(TBS系)に、歌舞伎役者の中村七之助が出演。トークの最中にMCの笑福亭鶴瓶の足にハエがとまり、大騒ぎになる一幕があった。
「トーク中に、ゲストの七之助がハエの存在に気がつくと、そのハエがなんと鶴瓶の足に着陸。そのハエをマジマジと見つめた鶴瓶は『お父さんや』や呟き、スタジオでは驚きの声が上がりました。しかも鶴瓶から離れようとしないハエを見て、七之助は『鶴瓶さんにとまっているってことは、父かもしれませんね』とコメントして、意味深な笑みを浮かべていました」(番組関係者)
実は歌舞伎の名門・中村屋とハエには、深い縁があるという。
「七之助によると、初めての役を演じて緊張している時には、見守るようにハエが現れると明かし、以前『ずっと父のおでこにとまっていた』『(舞台の上の)湯飲み茶碗の中に現れた』など体験談を語り、そのハエが七之助の祖父である十七代目中村勘三郎であると、中村屋では語り継がれていることも明らかにしていました」(前出・番組関係者)
これについて、梨園に詳しい演劇関係者は語る。
「七之助の父親に当たる十八代目中村勘三郎の妻である好江さんが、1993年に出版した書籍『三人桃太郎~中村勘九郎一家奮戦記』の中で、十七代目勘三郎は生前『俺が死んだらハエになってでも、みんなを見守ってやる』と話していたと記しています。それを裏付けるように本人の葬式はもちろんのこと、大事な時にはハエが飛んできたと書いています」
また、歌舞伎役者の中村獅童も2013年に都内で行われたインド映画「マッキー」の公開アフレコイベントに出席した際、「歌舞伎界ではハエを殺してはいけないっていう言い伝えがある」としたうえで、「歌舞伎の舞台でもハエが手にとまると、“勘三郎のおじさまが助けに来てくれたんだ”っていう。僕にとってハエは幸福の存在」とまで話していた。
「しかし、今回のハエは鶴瓶の足にとまったまま離れないことから、七之助は父である十八代目ではないかと話していたようです。ハエを追い払うことなく見つめていた鶴瓶は、『(収録中に)こんなことない』『これホンマに怖いな』と素に戻った表情を浮かべていました」(放送作家)
先代勘三郎は、鶴瓶と七之助に一体何を伝えたかったのか。秋の夜長に起きた珍事。季節外れの“怖い話”に驚くばかりだ。
(窪田史朗)