園や学校に子どもを送り出すと、しっかりと課題をクリアしているかだけでなく、「友だちとうまくやっているか?」が気になりますよね。もしも我が子が「あの家の○○くん(ちゃん)、△△くんをいじめてるんだって…!」なんて噂を耳にしたら、あなたはどうしますか? いじめの被害者はもちろん、加害者になることも防ぎたいものです。
言葉の暴力、あるいは手が出てしまった場合でも、友だちと何かあったのに我が子が平気な顔をしていると不安になりますよね。「だって、向こうがいけないんだよ!」なんて、自分を正当化し始めたらなおさら。「うちの子は相手に優しくしようとする心や相手を思いやる気持ちがないのだろうか…」と思ってしまいます。どうにか謝らせても、それは本心ではなく、同じことを繰り返すケースも多いです。自分がどうだったかではなく、相手の気持ちを尊重してお互いに心地よく過ごすための行動ができるように促すには、相手の気持ちと向き合う時間が必要となります。
そのためにはどうすればいいか。まずは「自分も嫌な気持ちになったんだ!」という言い分があればそれを受け入れ、「嫌だったね」と共感しましょう。話し合いはそれから。「あなたが嫌だった気持ちはよくわかった。同じように相手のことも考えてみよう。○○くん(ちゃん)は、あなたにそうされてどうだったと思う?」と問い、相手に思いを馳せる時間を作ってください。
そして、相手の気持ちがわかったら、お互いに気持ちよく過ごすにはどうしたらいいかを子どもに考えさせます。すると、「嫌なときは、手ではなく言葉で伝える」「嫌だと言われたことは、たとえ自分は平気でも相手にはしない」など、その子なりの気遣いが出てきます。それを尊重しながら「じゃあ、次はこんなふうにしようね」と目標を作りましょう。その通りにできたかどうかを注意深く観察し、できていたらたっぷり褒めてください。失敗した場合はまた同じように話し合い、次の目標を立てます。
子どもに言い聞かせるとき、「やめなさい」「謝りなさい」ではなかなか解決しません。その子が自らその道を選べるように、納得して選択できるように渡してあげることが大切なのです。
社会に出ても、ずっと人と人との関係性の中で生きていきます。だからこそ、小さい時から相手の気持ちについてじっくり考え、試行錯誤する時間を作ってあげましょう。もちろん、「どんなにケンカをしてもいいけれど、仲直りすること」「暴力で解決しないこと」など、最低限のルールは徹底して伝えてくださいね。
(Nao Kiyota)