子どもの頃の写真がたっぷりあるのは、やっぱり長男や長女。次女の筆者は「どうして私の小さい頃の写真はこんなに少ないの?」と文句を言ったものです。それほど愛情を注いできたはずの上の子ほど、なぜか愛情を感じていない…? 実はそんなことがあるようなんです。
一人っ子時代はそれこそ初めての子育てにあたふたしながらも、大切に大切に育てられる第一子。しかし、妹や弟が登場すると、歳を重ねるにつれてどんどん頼りなくなって卑屈になっていくと、お母さん方から相談をいただくことがあります。そこには、「お兄ちゃん」「お姉ちゃん」としての生き方を望まれた、長男長女たちの心の叫びが隠れていることが多いです。
子どもは、第一子だろうが第二子だろうが、末っ子だろうが真ん中だろうが、「自分はたった一人の、お母さんの子ども」です。それなのに、どうしても上の子は下の子のために欲求を抑えられ、見本となることを要求されがち。「お姉ちゃん(お兄ちゃん)なんだから、しっかりしてね」という母からの言葉は、「妹(弟)ばかり自分の好きなようにできて、ずるい!」という反抗心を掻き立てます。
また、“いい子にならないといけない”というプレッシャーに押しつぶされて、いつもドキドキ緊張してしまう子も。100%甘えられる存在の母親に甘えることができず、家で安らぐこともできずに、内にこもってしまう子も少なくありません。
長子にとって一番苦しいのが、下の子に抜かれそうになってしまったり、下の子ばかり褒められたりしてしまうこと。「私は“ここがいい”って褒められたこと、一度足りともありませんでした。いつも兄弟と比べられて、自分なんていいところなど一つもないと思って生きてきました」と語る大人もいるほどですから、幼少時代からの積み重ねは大きな心の闇になる場合があります。
下の子は、上の子の成功も失敗も、親とのやりとりも全て観察して、よりよい生き方を選ぶことができます。それに対して、上の子はいつでも一発勝負。ゼロから自分で考え、行動するしかありません。だからこそ、いつでも背中を押してくれ、頑張ったら戻ることができる温かい存在を求めています。厳しさも必要ですが、安らぎも同じくらい必要なのです。
上の子だから当たり前にできるということはないと心に留めて、一人の子どもとして愛情をたっぷり注いであげてください。
(Nao Kiyota)