お笑いコンビ・スリムクラブの真栄田賢とマヂカルラブリーの村上がツイッターアカウントをそれぞれ更新し、2018年限りでM-1グランプリの審査員を辞退すると発表したタレントの上沼恵美子の続投を願うツイートを投稿している。
今大会においても、“上沼節”は良くも悪くも全開だった。斬新かつ前衛的なネタ作りで知られるジャルジャルが「国名わけっこ」なる漫才を披露し、他の審査員が高得点を付ける中、上沼だけは88点という低評価を与え、「ジャルジャルはファンやけど、ネタは嫌いや」と言い放つと、自身の毛髪量を卑下した笑いに走ったギャロップの林健には「基本的に自虐ネタは受けない。こんだけキャリアあるねんから、知っとかなあかんわ。何してたんや今まで!」と一蹴。ただでさえ緊迫感の張り詰めるM-1グランプリ会場に、彼女の鋭利な怒号が飛び交う様はお馴染みのシーンとしてファンや芸人の間で話題となっていた。
そんな“舌好調”な上沼が大会翌日の12月3日にラジオ番組「上沼恵美子のこころ晴天」(ABCラジオ)に出演し、「こんな年寄りが座って偉そうにしてる場合じゃない」と語ると、「(審査員を)引退します」と宣言。これには、かつて上沼から“初心に戻れ!”“ネタに思い上がりがあった”などと公開説教されたスリム真栄田も「M1、上沼さんから一票もらって優勝したいので、来年も上沼さんに審査員やって欲しいどす!!怒られたままでは終われない笑」とツイートし、2017年度大会における“説教被害者”のマヂカルラブリー村上も「この先僕らは誰に叱られたらいいんだ」と嘆きのつぶやきを投稿している。
ネット上では上沼の続投を願う2人のツイートに多くの賛同が集まり、「(上沼に)叱られることで自分たちも美味しかったと切り替えてる。こういうところ、ちゃんと芸人だよね」「マヂカルラブリーなんてあの上沼節が無かったら今頃覚えてもないしね!」などの好意的な反応が散見されている。だが、彼らのツイートは適切だったのだろうか?
「おそらく2人は“感情型の論評”で一部から非難を浴びる上沼をかばうつもりだったのかもしれませんが、そもそも大会後の宴で上沼へ暴言を吐いたとろサーモン久保田かずのぶやスーパーマラドーナの武智を含め、出場する側の芸人が審査員について言及したり、“◯◯に審査してほしい”などと発言すること自体が越権行為とも考えられます。出場者は1年間を通してネタの精度やリズム、テンポなどを洗練させ、ひたすら芸を磨くことに専念すべきでしょう。“感情でジャッジするな”“誰々に審査してほしい”などの意見は、視聴者やファンが主張するならまだしも、真剣勝負でM-1に出場する芸人側が口にする内容ではないと思います」(テレビ誌ライター)
さらに言えば、本当にクオリティーの高い漫才が披露された際には、個人の好みや感情を超えて、2006年大会のチュートリアルや、2009年のパンクブーブーのように決勝ファイナルラウンドで全7票を獲得して“満場一致”で優勝することも少なくない。
希望の審査員を選り好みしているような段階では、王者としての未来はまだまだ望み薄だと言わざるを得ないだろう。
(木村慎吾)