人の命を何だと思っているのか。妻に先立たれた歌舞伎役者の市川海老蔵がブログで示した怒りに、世間からも共感の声が続出しているようだ。
海老蔵は12月20日に更新した「私は嫌い」というタイトルのブログ記事にて、パートナーと死別した人を指す「没イチ」という言葉への嫌悪感を示した。この言葉を使った記事のスクショを掲載し、「最低な言葉、私はそう感じますね」と断罪したのである。その言葉について女性誌のライターが指摘する。
「海老蔵の怒りを報じるメディアではこの『没イチ』を新語と紹介していますが、実は10年ほど前から高齢者の間で使われており、新語ではありません。すでに2010年10月にはEテレで『男“没イチ”エンジョイ生活』と題した番組が放送されており、どうやら『終活』と同じころに発生したようですね。ただ、終活が高齢者自身の生き方を示す言葉なのに対し、没イチは相手に先立たれた受け身の立場を示しているので、ネガティブさを感じるのは否めません。それゆえ自分自身を没イチと称するのは構いませんが、他人が『あの人は没イチだ』と言うのはやはり失礼このうえないでしょう」
高齢者向けの生活情報誌では、この「没イチ」は珍しくない単語だという。ただ未亡人や男やもめといった言葉とは異なり、世間一般に広まっているとはいえず、海老蔵がこの単語に不快感を示すのも無理もないところだ。
「最近では没イチをテーマにした書籍が発行されたり、NHKの番組でも取り上げるなど、以前よりは『没イチ』の認知度は高まっています。とはいえ高齢者の問題として取り上げるならともかく、海老蔵のような妻に先立たれた男性に『バツイチ』と同じ感覚で使うのは失礼に過ぎるというもの。この記事を書いた記者はきっと、まだ両親が健在な独身者で、身近な人が亡くなったときの悲しみを実感したことがないのかもしれません」(前出・女性誌ライター)
アンチも少なくない海老蔵だが、今回ばかりは世間を完全に味方につけたようだ。
(白根麻子)