女性タレントとは、少し“おバカ”な方が世間からの同情や好感を集めやすいのだろうか。
「平成のテレビ史」を振り返ると、出演者が英知を絞り出すクイズ番組や雑学番組といった教養コンテンツが大きなブームとなり、そこでお呼びがかかる存在こそ“おバカタレント”である。もちろんクイズ番組という構成上、高学歴かつ博学なレギュラーメンバーは必須ではあるものの、予期せぬ回答や信じられないレベルの無知さを晒す一種の噛ませ犬としての役割は求められてしまうというわけだ。
1992年から長くお茶の間に愛された「さんまのからくりTV」(TBS系)では、元アイドル歌手の浅田美代子が凄まじい天然ぶりを連発し、芸能界における“平成のおバカ合戦”を開幕させた。その口からは数々のおバカ発言が飛び出してきたが、司会者の明石家さんまとの相性は抜群で、クイズ番組を大喜利化させた最初の天然タレントといっても過言ではないだろう。彼女の“代表作”としては、「金曜日って何曜日だっけ?」というさんまへの質問であり、「火曜日ちゃいますか?」と返されると、浅田は「あ、そうだ、そうだ」と納得してしまったのだ。
“クイズ番組におバカタレントあり!”との風潮をさらに強めることとなったのは、フジテレビで高視聴率を叩き出していた「クイズ!ヘキサゴン」の存在だ。こちらも「からくりTV」のさんまと同じく、“天然タレント”を調理させれば右に出るものはいない島田紳助氏が司会を務め、歌手のmisonoやタレントのスザンヌ、木下優樹菜、里田まいといった“おバカ界の有望株”を輩出すると、その後のクイズ番組ブームへの架け橋的な役割も担うことに。
「ヘキサゴンファミリー」なる結束した絆をも形成した出演者一同だったが、肝心の司会者である島田紳助氏に反社会的勢力との親密交際疑惑が浮上したことで芸能界引退に追い込まれると、番組を盛り上げた“おバカタレント”たちは散り散りとなり、それぞれの道を進んだ。
(木村慎吾)