入試で問われる「思考力」とその伸ばし方

 昨今の入試制度や試験内容といえば、親世代が子どもの頃とガラッと変わりました。とくに、これからの時代で活躍するために必要な力の一つとして挙げられている「思考力」は、どうやって鍛えれば伸びるのでしょうか。

 そもそも思考力とは、辞書的な意味では「考える力」のことを指します。とはいえ、試験本番でどれだけ考えても、答えがあっていなければ得点することはできません。単純に、考えればいいという訳ではないとなると、どのように鍛えればいいのか分からなくなってしまいますよね。

 グローバル人材を育てるための独自の教育プログラムを開発するTORU FUNATSUさんは、著書『すべての子どもは天才になれる、親(あなた)の行動で。』の中で、思考力について「誘惑の多い世の中で子どもがよりよい道を選んでいくうえで欠かせない能力です。特に、周囲に流されず物事の本質を見抜く思考(クリティカルティンキング)と、柔軟な思考を可能にする地頭力が二大要素になります」と述べています。

 これによると、一つは本質を見抜く力。入試でいえば、論理的に考えることで、問われている内容を正しく理解することです。出題者が何を求めているのかを見抜くことができれば、問題文のどの部分がヒントとなり、どの資料を活用して解答を導くのかが分かりますよね。

 もう一つは、公式や習ったことだけに依存せず、自ら解を見つけようとする地頭力。複雑な問題を紐解くためには、習ったことをそのまま使うだけでは歯が立ちません。柔軟に、粘り強く考えることも重要なのです。

 教育現場で子どもたちを指導していると、これらの力を持っている子はとても強いです。保護者に話を聞くと、家庭でも「結局、こういうことでしょ?」「あっ、待って! こうやったらできるかも!」と口癖のようにつぶやき、楽しんで考えているそうです。どうやら、思考力を鍛えるヒントは、論理的に柔軟に考えることを“習慣化”することにありそうです。

 そのために、「どうしてそう思うの?」「他にも方法があるかも! 探してみよう!」などと、思考を巡らすきっかけをつくる言葉がけが大切です。これは、日常の会話の中でも実践できます。親としては、子どもが“考えること”を大好きになれるように、一緒に楽しんでいきたいですね。

(Nao Kiyota)

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