子育てや教育についての情報が氾濫している昨今、いったいどうすればよいのか悩むこともあるのではないでしょうか。例えば、「しっかり叱って育てるべき」と「叱らずに育てるべき」という意見。正反対のため、どちらがいいのか迷ってしまいますよね。そんなときは、“子育てに正解はない”ということを念頭に入れて、「うちの子にとってよりよいあり方は?」と考えるようにしましょう。
■子育てに必ず「成功」する方法はない
教育現場で子どもたちを見ていると実感しますが、一人として同じ考え方の子はいません。どの言葉が響き、どの言い方だと受け取りやすいかは千差万別。だからこそ、教室全体に伝えるときは、どんなふうにすべきかと悩むものです。子育ても同じです。「この言葉で伝えれば絶対に分かってもらえる」「この方法なら1度で逆上がりができるようになる」などという方法があればうれしいのですが、そうではありません。目の前の子の気持ちや今の体調、体力、心の状況によっても変わってくるものだからです。
■子育ての方針で「叱るか」「叱らないか」を決める必要はない
叱る子育てにするか、叱らない(もちろん別の方法でしっかり伝えるのですが)子育てにするか、明確に決める必要は必ずしもないのではないでしょうか。どんなことも自信と勇気を持って取り組める幼児期はたっぷり褒めて伸ばし、自分と向き合えるようになる小学校高学年頃は叱ることも大切にしてビシバシ鍛える。このように、子育ての時期によって変えていく方法もあります。目の前の子が納得できているか、今のやりとりが成長につながっているかに着目し、子どもに合わせて調整していくことで、よりよい方法で向き合うことができるでしょう。
■子育てに「失敗」はない
叱って育てたから「うちの子はもうダメ…」などと、決めてしまう必要もありません。子どもとの向き合い方はもちろん、人間関係だって気付いたときに軌道修正することは可能です。失敗は宝物。よりよくするにはどうしたらいいかを考え、試行錯誤すればよいのです。1度言ったことがすべてではなく、今からどう伝えるかを考えることで、子どもとの関係性はいつまでも変わっていきますよ。
失敗したらどうしよう…。そう思うと方法論にすがりたくなってしまいますが、もともと正解はないのだと思っておけば、今の自分が実践している方法をどうよりよくしていくかに思考を向けることができます。子育ての方法に迷ったら、まずは目の前の子に思いを馳せて考えてみてくださいね。
(Nao Kiyota)