コントの日本一を決する「キングオブコント2019」決勝戦が9月21日に開催され、大きな盛り上がりを見せたが、審査員席に並んだ面々については改善の余地があるのかもしれない。
まさかの下ネタソングで優勝をかっさらった芸歴16年目の「どぶろっく」や、最後まで奇抜な攻めの姿勢を崩さなかった「ジャルジャル」、そして今後のお笑い界に新風を巻き起こす予感を漂わせた「うるとらブギーズ」など、今大会も話題に事欠かないハイレベルな合戦が繰り広げられたが、やはり疑問を感じざるを得ないのはバナナマンとさまぁ~ずというコンビのセットで審査員席に座る顔触れの是非である。
「今回特に顕著に現れたのはコンビ間での得点の被りです。バナナマンの設楽統と日村勇紀は1stステージと2ndステージ合わせて4度の同点評価があり、1点差の評点も4度ありました。一方のさまぁ~ずも同点と1点差が7度。異なるお笑い観を持った人間を審査員に並べて、それでもなお評定で得点が被るのは仕方がないとしても、長年同じポリシーと笑いのセンスを共有してきたコンビを2人ずつ並べて得点が近くなってしまうのは明らかに総合的なジャッジを下すうえでは偏りが出てしまいます。例えば、今回の大会で言えば下ネタというある意味での“禁じ手”を用いたどぶろっくに対して全員が賛辞を述べる事態となり、中にはこれに猛反発を見せる審査員が居ても良いはずです。現時点では、“コントの日本一を決める”作業が多角的には行われていないような気がしますね」(テレビ誌ライター)
ツイッターを含むネットでもキングオブコント審査員の面々については不満の声が上がっている現状がある。
「漫才の頂点を決めるM-1グランプリが一定のステータスと権威を獲得できたのは、やはり審査員のシビアなジャッジとそれぞれのキャラクターの濃さでしょう。このようなお笑いのコンペティションでは出場コンビのクオリティはもちろんのこと、それに加えて審査員の面々にも強烈な個性が求められます。一つのネタに対して、それを絶賛する審査員もいれば、生理的な拒否反応を示すもの、そして理論的にダメ出しをできる審査員が混同し合うことで総合的かつフェアなジャッジが下されることになります。今回のキングオブコント放送中にはSNSでも『今日ほど上沼恵美子が審査員であるべきと思ったことはない』『審査員が女だったらまた違ったかもな』『非常にくだらない!全く信用できない審査員』との嘆きが上がっていますからね」(前出・テレビ誌ライター)
キングオブコントもそろそろ“男社会”からの脱却や、より多角的な視線でのジャッジへとアップデートしていく時期なのかもしれない。
(木村慎吾)