ジャニーズ事務所屈指の稼ぎ頭である嵐がYouTubeを始め、ツイッターやインスタグラムなどの各プラットフォームへの本格的な参入を発表したことは大きなニュースとなって報じられたが、その戦略の背景には2017年に同所を去った“元SMAP3人組”の存在が見え隠れしてしまうのは皮肉な話である。
インターネット上での所属タレントの肖像利用を徹底的に管理し、ツイッターなどのSNSアカウントの開設をも全面的に禁止してきたジャニーズだが、ここにきて大きく方針を転換し、11月3日に同所では初となる嵐のSNS全面解禁を発表。すでにYouTubeやツイッター、インスタグラムなどでは熱心がファンによって埋め尽くされる“大盛況”状態となり、規制緩和を施すことでより時代のニーズを敏感に察知しようとする柔軟な姿勢を窺わせている。
「所属タレントの写真利用などを全面禁止にすることで公式販売するうちわや下敷き、パーカーなど様々なグッズの希少性が上がり、売れ行きが加速するというメリットがありますが、やはりこれからは時代の流れに合わせてSNSの駆使が必須と考えたのでしょう。また、ジャニーズが長年培ってきた社の掟を大幅に変更するほどの決定を下すに至った理由として、元SMAPのメンバーで“脱退組”とされる香取慎吾、稲垣吾郎、草なぎ剛の存在は無関係ではないはずです。ジャニーズ内でも1位2位を争うほどの商才でキレ者だったとされる元SMAPのマネージャーは、2017年以降も脱退組の3人と行動を共にし、ジャニーズ出所後すぐに取り組んだのがSNSアカウントの開設で、草なぎにはYouTubeでのデビューもさせています。これまでの芸能界であれば、事務所を半ば追放され、テレビの世界からオファーが無くなればタレントとして存在しないも同然の扱いとなっていましたが、SNSを駆使することでテレビに出ずとも情報発信を続けることが可能となり、結果的に世間への影響力をキープすることでこれまで通り企業から商品訴求のオファーを貰うことができていますからね」(テレビ誌ライター)
つまり、ジャニーズからすれば、“追い出したはずなのになぜ…?”といった心情だろうが、実際に香取や稲垣、草なぎは順調に俳優、タレントとしての仕事を継続的に確保しており、SNSを駆使することでファンとのリアルタイムな交流が可能となっているのだ。
「テレビが絶対的なメディア媒体として君臨していた時代からは考えられないような脱退組の3人による“巻き返し”ぶりですが、最近では元関ジャニ∞の錦戸亮もまた退所後すぐにSNSを駆け込み寺として選んでいます。こうした状況を大元のジャニーズが黙って傍観し続けるわけもなく、“ならば我々も”と重い腰を上げたのかもしれません。追放したはずの元SMAPのマネージャーによる戦略と同じルートを辿るというのはジャニーズ事務所からすれば皮肉な話ですが、SNSを過剰に禁じていてはその反動で錦戸のような脱退者が思わぬ特需を得られてしまう為、あまり良策にはなり得ないと判断したのでしょうか」(前出・テレビ誌ライター)
いずれにせよ、天下のジャニーズも少しずつその戦略を見直すべき時期にさしかかっているということだろう。
(木村慎吾)