お笑いコンビ・アンタッチャブルが10年ぶりの漫才で共演し話題を呼んだ「全力!脱力タイムズ」(フジテレビ系)だが、告知をしなかった同番組の構成にも称賛の声が上がっている。
連打パンチのごとく次々にボケを放ち続ける山崎弘也と、それらをマシンガン級のツッコミで一掃する軽妙な柴田英嗣というコンビネーションを再び満喫するまでに、ファンは長すぎる歳月を待ち続けてきた。普段からドッキリに近いテイストを保ったまま進行される同番組にて、柴田は当初、“ザキヤマ”こと山崎に扮した俳優の小手伸也と漫才を披露していると、突如としてザキヤマ本人が登場。「バカ、ダメだって!」と柴田すらも慌てふためく中、2人は絶妙な即興漫才を始め、10年というブランクを感じさせないコンビ芸を見せた。
「本来であれば、過去にどんな番組でも成し得なかったアンタッチャブルのコンビ復活は同放送回における最大の見せ場のはずですが、『脱力タイムズ』はこれを無告知のまま放送し、その分、サプライズの価値を一層高めています。また、視聴者は過剰な予告や煽りの演出が頻繁に駆使されるバラエティ番組の潮流に辟易しているからか、告知をしなかった同番組を称える声がネットやSNSで殺到。翌日にはフジテレビから12月8日放送の『THE MANZAI 2019』でアンタッチャブルが正式に新作漫才を披露することが発表され、無告知の『脱力タイムズ』で生じたバズや話題性を、『THE MANZAI』の宣伝として利用するというクレバーかつ斬新な手法を見せた格好です。これはファンや視聴者からも好評を得られるやり方であると同時に、SNSで多分に拡散されるであろう“斜め上”なメソッドとも言えるでしょう」(テレビ誌ライター)
もちろん大きな話題となった背景にはアンタッチャブルが本来備えている人気と実力があることは当然だが、「脱力タイムズ」と「THE MANZAI」はその奇抜なプロモーションの方法によって大量の“いいね”を収集することに成功したと言えそうだ。
(木村慎吾)