東の大関には、松岡茉優が座った。映画監督の野本史生氏が言う。
「キャリアもあるが、高畑充希に匹敵するくらい本当に実力のある女優。印象的だったのは広瀬すず主演の『ちはやふる』(16年、東宝)で、画面に映った瞬間に、相対した広瀬を完全に食っていたこと。それ以前には『桐島、部活やめるってよ』(12年、ショウゲート)も、出番は少ないのに明確な印象を残していました」
昨年、映画賞を独占した「万引き家族」(18年、ギャガ)でも高評価だったと芸能評論家・織田祐二氏が語る。
「舞台挨拶で故・樹木希林に『CMたくさん出てる松岡さん』とか『人気があるみたいじゃない?』って、ずっといじられていました。樹木が関心を寄せると認められた証拠で、広瀬すずなど大成していますね」
演技力の認知に合わせてビジュアルも急上昇。「あまちゃん」(13年、NHK)では目立たないポジションだったが、今や完全にメインロードにいる。
西の大関は、デビューから10年目に主演作「愛がなんだ」(19年、エレファントハウス)が、単館系ながら大ヒットした岸井ゆきのを。
「この映画の好みは分かれるところだが、成田凌とともに主演コンビの演技はすごく良かった。いわゆる“ブサカワ”の顔立ちではあるけれど、ただきれいな子よりもおもしろい演技はできる」(前出・野本氏)
桃井かおりの実兄で脚本家・桃井章氏も、抑揚をセーブした岸井の演技を賞賛する。
「心ならずも体だけの関係というポジションを絶妙に演じ、女性客の共感を得ていた。ただ、この演技力を生かすドラマに出演していないことが少し不満」
148センチと小柄な岸井が堂々として見えたのも、彼女に目を奪われていたからに違いない。
そして、東関脇には新世代ヒロイン候補筆頭のあの女優が──。