子どもたちの学びの現場でお母さん方からのご相談を受けると、本当に多くの方が「分かっているんですけどねぇ……」と、意思に反して“やってしまうこと”があるといいます。
■他の子と比べてしまう
「家にいるうちはまだよかったような……。園や学校に入ると嫌でも他の子どもの様子が目に入り、何かと比べてしまいます。とくに、おしゃべりの仕方や文字が書けるかどうか……我が子のペースで進めないと嫌になってしまうことは分かっているのに」
比べるよりも、我が子ができている部分を見て認めてあげたほうがずっと成長に繋がりやすいのに、どうしても他の子と比べては「どうしてできないの?」と思ってしまう。比べるべきではないとは分かっていても、比べる対象がみえてしまうと「うちの子もできていいはずなのに」と思ってしまいますよね。
■期待をしてしまう
「時期による成長の仕方を調べまくってしまい、この時期は、これができているべきと決めつけては、できていない我が子にがっかりしてしまうんです……」
子どもの成長スピードはそれぞれなのに、「早い子は○○ができるようになる時期」と知ると、焦ってしまいますよね。「○歳だからできるはず」と期待が先行してしまうと、もう少しでできるようになるところなのに気付けず、「うちの子はまだできていない!」とイライラしてしまうこともあります。
■「待つ」ことができない
自分の力でできるようにしてあげるには、やってあげるのではなく、時間がかかっても挑戦させてあげることが必要。「そんなことは分かっているのですが、そんな余裕がないんです!」という声も多いです。母にとっては家事も育児も時間との勝負。あと3分で出発しないといけないと考えているときに、子どもがゆっくり靴下を履いているのを見守ることがどれだけ難しいことか……。
「そうすべきでないことは十分に分かっている。でもしてしまう」のは、我が子によりよくなって欲しい、失敗しないで欲しいと思う母親心があってこそ。けれども自分に忍耐力がないと、イライラや不安が倍増してしまいますよね。そうならないためにも、最初から「そういうものだ」と思っておくことも大切です。「あぁ、今、私、焦っているなぁ~」と俯瞰してみるようにすることで、少しずつ行動を変えられるようになりますよ。「私はダメだ」ではなく、「みんなそうなのよね」と思うことが、心の余裕を作る第一歩なのです。
(Nao Kiyota)