テレビ東京プロデューサーの佐久間宣行氏が5月10日放送の「あたらしいテレビ」(NHK)に出演し、コロナ禍の影響で一般的となりつつあるバラエティ番組のリモート収録について語っている。
人気番組「ゴッドタン」(テレビ東京系)を担当し、名プロデューサーに列せられる佐久間氏によれば、リモートでの収録で上手くいく番組とそうでない場合があるといい、「絶対的なMCが居て、そのMCが振る番組がどうか」が成功するか否かの鍵となるようだ。
具体例としては日本テレビの「有吉の壁」を挙げ、「有吉さんがベースで居て、有吉さんを笑わせるっていう、絶対的なMCと(他の)出演者っていう形式だったりするもの」は、リモート収録に向いていると説明。その反面、出演者それぞれが“クロストーク”を展開するタイプの番組は、「やっぱりまだぶつかっちゃったり、それぞれの出演者も慣れていないのもあって試行錯誤でやってるなっていう感じ」と分析した。
また、普段であれば重宝される“ガヤ芸人”に関して、「邪魔っていうのがあります。あんなにスタジオ収録だと助かったガヤ芸人がリモート収録だと、ただ“カブる”だけなんで」と語り、日本中のガヤ芸人たちを震え上がらせるコメントを残している。
「スタジオに大勢のタレントを集めてバラエティ番組を収録するのは、まだしばらくは困難。そうした中、各放送局は様々な工夫を凝らし、その一つがリモートでの番組収録という形ですが、たしかに佐久間氏が指摘するように、話のトーンや順番に気を遣わなければならないリモート収録では、他の人の発言中の横やりはご法度。ガヤ芸人としての代表格であるFUJIWARAのフジモンやアンタッチャブルのザキヤマらは、発言者の邪魔になるかならないかの絶妙な音量で情報や見解を付け足すのが持ち味。これはスタジオという空間を共有する際には笑いを増幅させる抜群の効果がありましたが、それぞれ別室から出演するリモートでは、音声がカブり進行の妨げになる危険性をはらんでいる。もちろんそうした細かな部分をケアできるMCが居れば、上手くさばけるのかもしれませんが、ネットでも現在のリモート収録においてはガヤ芸人の存在意義に疑問を感じるとする見解が多く、『フジモンのガヤとか宮迫の“ちょっと待って、今噛んだよな!”みたいな他人ありきのタイプはリモートには向かないかもね』との声や、『東大王がリモート放送になってフジモンのガヤが無くなった分スッキリして見やすくなった』といった指摘も出ています」(テレビ誌ライター)
バラエティ番組において潤滑油的な役割を担い、随所で盛り上げに貢献してきたガヤ芸人たち。しかし、リモートで一つの空間を作り上げる現在の形態では、不要不急どころか足かせともなり得るのかもしれない。
(木村慎吾)