秋冬を待たずに「第2波」が襲ってきたようだ。
東京都は7月12日、新型コロナウイルス感染者が新たに206人確認されたと発表。9日に初めて200人を超え、4日連続で200人を上回った。感染経路不明者も半数近くを占め、陽性率も上昇していることから、市中感染がかなり広がっていることは確実だ。
「あの『東京アラート』や『ロードマップ』は何だったのかと、今さらながら腹が立ってきますね。吉村府知事の大阪モデルを真似するように東京アラートが発表されたのが5月15日。6月2日に発令され11日に解除となりますが、その後は再点灯の要件を満たしても何だかんだ理由をつけて再点灯はしなかった。あまつさえ、月末には“新しい指標を作った”として、制度自体がなくなりました。出口戦略のロードマップも、感染者数が増えているにも関わらずいつの間にかステップが進み、都知事選の告示翌日には全面解禁に。小池氏のメディア露出ばかりが目立ち、恣意的に利用されたという疑念すら湧いてきます。現に、全面解禁から潜伏期間を経てちょうど2週間後の7月2日に感染者数が一気に100人の大台に乗り、いまや歯止めがかからない状態です。結果、小池氏は選挙に圧勝しましたが、一体誰のための仕組みだったのかと都民はやりきれない思いでしょう」(全国紙記者)
感染拡大を受けて東京都は9日、コロナ対策費として総額3100億円の補正予算を組んだ。接待を伴う飲食店に休業要請した際の「協力金」のほか、医療従事者や医療機関への支援に充てられるという。2月以降、東京都の新型コロナ対策費の総額は1兆4000億円にも上る。これにより9000億円もあった財政調整基金は一時500億円までに減った。都の貯金が底をつきかけているのである。
「消化されていない基金などもあり、都の財政がすぐに窮迫するわけではありません。ですが、東京オリンピック・パラリンピックの延期に伴う3000~6000億円とも見込まれる追加費用が、今後のしかかってきます。主に組織委の人件費や施設の借り上げ料などで、いまも毎月数十億円が費やされている。都がいくら負担するのかは未定ですが、こちらの備えも必要になります」(前出・全国紙記者)
これ以上、財政が悪化すれば、東京都は五輪開催どころか秋冬のコロナ対策すら覚束ないというわけだ。これまで様々なパフォーマンスでピンチを乗り切ってきた小池都知事に、打つ手はあるのか?
「『五輪中止』を提言することはあるのでは。都知事が決められることではありませんが、小池氏はこれまでもロックダウンなど、権限のない政策をぶち上げてきた“前科”がありますからね。さらに小池氏は世論の風を読むのがお得意。新聞社がとったアンケートによると、《五輪は中止すべき》あるいは《開催できない》と考える人が5割を超えている。参加国や参加選手が絞られれば大会価値が薄れてしまう、海外から変異したコロナウイルスを持ち込まれたらたまらない、というのがその理由です。築地移転の時もそうでしたが、変わり身の早さには定評ある小池氏のこと、ここで五輪中止を持ち出しても不思議はないですよ」(週刊誌記者)
いまこそ住民の命と財産を守る都民ファーストな英断に期待したい。