失恋したら、まずはそのことを誰かに話してみる──それが立ち直るための近道です。
というのも、人は自分のことを話すという行為で、ネガティブな感情を発散し、手放せるからです。癒やし効果があるともいわれています。これを【カタルシス効果】といいます。カタルシスとは、もともとは浄化や排泄という意味。古代ギリシャで医学用語として使われていました。それが、哲学者アリストテレスが作品の中で使用したことにより、魂を浄化するという意味で使用されるようになりました。
前述したように、カタルシス効果を得るためには、誰かにツラい話を聞いてもらうのが効果的なのですが、話を聞いてくれる人を選ぶ必要があります。必ず、あなたを否定せずに肯定して受け入れてくれる人を選んでください。
例えば、あなたと同じような経験や共通点のある友だちなら、あなたの話を「うん、分かる分かる。同じような体験があるわ」と、【同感的理解】を示しながら話を聞いてくれるので、カタルシス効果が高いといえます。
しかし、もっと効果が高いのは【共感的理解】を示してくれる人に話を聞いてもらうことです。これを示しながら話を聞くとはどういうことかというと、「あなたと同様の経験がなくても、あなたが感じていることを分かろうという姿勢で話を聞く」ということ。カウンセラーなどの専門家が話を聞く際には、この共感的理解を目指します。
同じような体験がなくても、あなたが安心して自己肯定できるような話の聞き方をしてくれるので、同感的理解の場合にときに起きる「あれ、この人は本当に私の気持ちを分かってくれているのかな?」という不安を感じにくく、よりカタルシス効果を得やすいのです。
失恋中のあなた。聞き手を選びながら、どんどんあなたの話をしてみてください。意外と早く、失恋から立ち直れるかもしれませんよ。
(恋愛カウンセラー・安藤房子)