脳科学者の茂木健一郎氏が11月3日に自身の公式ブログを更新し、吉本興業所属芸人の政治的スタンスに物申している。
茂木氏は、住民投票の結果、否決されることになった大阪都構想について、「役者がみな個性的だし(松井市長、吉村知事、そして橋下徹さん)、コメディにするには黄金の機会というか、海外のコメディアンだったらよろこんで飛びついているネタだと思う」とし、重要なキーマンとなった大阪市長の松井一郎氏、大阪府知事の吉村洋文氏ら個性の強いメンバーの存在が格好のネタになり得ると所感を述べた。
ただ、吉本興業のお膝元である大阪のテレビ番組でそうした見方をする傾向があまりなかったとし、「こういうのが取り上げられないのはふしぎだ」「そのかわりに、吉本の芸人さんで目立つのは権力に融和的というかどちらかというとそれを支持するようなふるまいで、それはコメディアン本来の仕事ではないと感じる」などと持論を展開。一方、政権への過激な物言いで知られるウーマンラッシュアワー・村本大輔に関して、「異端視する人がいるけど、村本さんの方がコメディアンとしてはよほど本来のあり方だと思う」と評価した。
「大阪都構想については吉本芸人でいえば、ブラックマヨネーズ・吉田敬やシルクらがそれぞれの見解を述べていますが、皆、三者三様でバラバラな考えです。芸人だからといって政権批判をするのが本来のあり方だと決めつける茂木氏の主張はどこか凝り固まった時代錯誤な印象を与え、ネットでは『政権を批判しようが支持しようがそれこそ内心の自由でしょ。もっと多様性を受け入れましょう』『勝手にお笑い芸人の役割を決めつけてる』『芸人だって一個人である以上、様々な考えや思想があって然るべき』との反論が続出しています」(テレビ誌ライター)
茂木氏は過去にも日本のお笑い芸人を「終わってる」「国際水準のコメディアンとはかけ離れている」などと一蹴。アメリカではコメディアンがドナルド・トランプ大統領に異議を唱えるケースが多い中、日本の芸人は空気を読んだり、上下関係を重視しすぎるあまり、権力者に向けて何か異議を唱える文化がないという。
茂木氏の主張にも一理あるが、“政権批判をしない=芸人失格”かのような表現には共感する人は少数派だったようだ。
(木村慎吾)