「キング」松本潤が味わった挫折、自信家の鼻がへし折られた日

 ソロタレントとしてのスタートを切った松本潤。嵐のメンバーから「MJ」と呼ばれたのは、「松本」のMと「潤」のJに、マイケル・ジャクソンを掛けたものだ。

 マイケルが“キング・オブ・ポップ”なら、マツジュンは“キング・オブ・スクール”。独裁者の片りんを見せたのは中学1年生からだ。学級委員長に他薦されると、学級ルールを替えた。席替えを名前順やクジ引きではなく挙手制にして、自分は座りたい後ろの席に陣取った。

 堀越高等学校に進学後は「キング松本」と呼ばれ、同級生の歌舞伎俳優・中村七之助こと「デビル波野」(波野は七之助の本名)と共に権力を掌握した。2人は芸能コース(当時)。このコースは、ホームルームが3学年で1クラスになる。キング&デビルが3年生のとき、下級生も上級生と話しやすい環境を作った。おかげで、クラスのコミュニケーションは円滑になったという。

 そのキングぶりは、ジャニーズ事務所へ入所時も発揮された。オーディションを受けず、履歴書と写真1枚でジャニー喜多川社長が合格を決めた。

 とんとん拍子すぎるMJの人生。だが、嵐になったあと、初めて挫折を味わった。06年に出演した舞台「白夜の女騎士」。蜷川幸雄演出、劇作家・野田秀樹の作品で、どん底に落ちた。

「ラストシーンは、主人公でマツジュン演じる『空飛びサスケ』のフライング。ジャニーズの伝統芸といえるフライングですが、蜷川さんは『ジャニーズ風に飛ぶな』とダメ出し。蜷川作品では珍しくない“千本ノック”の洗礼を浴びたのです」(芸能関係者)

 当時22歳。同じ年だった二宮和也が稽古場を訪れたことがある。過酷で知られる蜷川作品に挑む松本を心配したのかもしれない。

「それまでは成すことすべてがうまくいっていたので、野田氏の難解すぎる本に『人生初めての挫折をしました。芝居を教えてください』と共演者で大先輩の勝村政信さんにお願いしています。2人で発声練習、体の動き方などを何度も行なうストイックさを見せたといいます」(前出・芸能関係者)

 それでも蜷川氏は、「この不感症が!」と松本を怒鳴りつづけた。自信家だった松本は「完敗。ぜんぜんできなかった。足りなかった」と力不足を認めざるを得なかったという。

 偉大すぎる故人のスパルタを経て、男性アイドルグループの頂点に立ったマツジュン。今年、その学びをネクストステージで発揮するか。嵐休止後も期待がかかる。

(北村ともこ)

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