「世界の蜷川」と評された演出家の蜷川幸雄さんが12日、肺炎による多臓器不全のため亡くなった。80歳だった。
この訃報に、ジャニーズ事務所のジャニー喜多川社長が追悼コメントを発表。ジャニー社長にとって蜷川さんは、所属タレントの演技力を高めてくれた大恩人だった。
ジャニー社長に続き、これまで蜷川演出の舞台に立った東山紀之、錦織一清、植草克秀ら古参のメンバーはもちろん、岡田准一、森田剛、二宮和也、松本潤、亀梨和也らも悲しみのコメントを寄せた。
蜷川演出といえば、真っ先に浮かぶ“灰皿投げ”。厳しい演出家としても有名だったが、その裏には「深い愛情があった」という。
森田は「舞台の初日前には『他の人に何を言われても、俺が責任を取ってやる』と言ってくれました。だから舞台に立つことが怖くなかったですし、この人のためにやりたいと思いました。『馬鹿野郎、変態』と言われながら、たくさんの愛情をいただきました」と、蜷川さんの人となりを表すエピソードを綴った。
また、体調が悪化していた蜷川さんに接した亀梨は「車椅子姿の蜷川さんは、とても力強く、そこからたくさんの感性、感覚を学ぶことができ、自分は本当に幸せでした」と明かし、松本は「なんだか胸に大きな穴が開いてしまったようです」と悲しみを率直に表した。
「ジャニー社長が誰かの訃報に際し、コメントを発表するのは珍しいことです。それだけ蜷川さんに恩義を感じていたのでしょう。これから、蜷川さんに鍛えられたジャニーズのメンバーが、後輩にどう伝えていくのか期待したいですね」(芸能ジャーナリスト)
蜷川さんの死去は、日本だけでなく世界の演劇界にとって大きな損失なのは間違いない。
(李井杏子)