新型コロナウイルス感染症の予防策として、日常的に除菌スプレーを使う機会が増えました。でも、どこにでもスプレーしてOKというわけではないようです。
時に、エアコンに向かって除菌スプレーを噴射することがあるかもしれませんが、実はそれ、エアコン故障の原因となることもあるのだとか。『三菱電機 霧ヶ峰』の調査(三菱電機によるインターネット調査。2021年1月実施/東京・大阪在住の30~59歳の男女332名)でも、「エアコンやエアコン内部に除菌スプレーを直接吹きかけたことがある」と回答している人が17.5%と、2割弱いることが分かっているそうです。
三菱電機空調冷熱システム事業部の鳥海采さんによると、「エアコン内部の清潔性が気になる場合でも、直接エアコン内部に除菌スプレーを吹きかけるのはやめてください」と話します。さらに、「エアコンはお部屋の空気を吸い込んで冷暖房するので、なるべく運転中のご使用もお控えください。除菌スプレーに含まれる成分によっては、重要な部品を腐食(=化学的作用により金属が劣化・損傷)させ、故障のトラブルにつながる可能性があります」とのこと。実際、エアコンに次のような症状が出ることがあるそうです。
■電子基板が故障し、運転ができなくなる
■室温を検出するなどのセンサー部が故障し、正常な運転ができなくなる
■熱交換器に「アリの巣状腐食」が起こり、「冷えない」「暖まらない」などの症状が起きることがある(異なる腐食形態も存在する)
とくに、アリの巣状腐食には要注意。これは、除菌スプレーなどに含まれている「ギ酸」や「酢酸」といった成分が室内機の中にある熱交換器の冷媒配管に付着、時間をかけて配管を腐食し、まるでアリの巣のような形態の腐食が起きた状態のこと。ただ腐食するだけでなく、電気代が高くなったり、修理費用が高額になったり、製品の寿命が短くなったりする可能性もあるとか。よかれと思ってしたことが、これらの損につながってしまったらショックですよね。
除菌習慣が根付いたことはいいことといわれますが、除菌スプレーを直接エアコンに吹きかける、エアコン運転中に除菌スプレーを使うといった行為は、思わぬ落とし穴にハマってしまう行為といえそうです。除菌習慣は続けながらも、ぜひ注意してくださいね。