ジャニーズ事務所イチの苦労人集団といえば、ふぉ~ゆ~。メンバーの福田悠太、辰巳雄大、越岡裕貴、松崎祐介の4人全員に「ゆう」が付いていることから、故・ジャニー喜多川氏が命名した。全員がキャリア20年超えで、今年CDデビューができないままジャニーズJr.を卒業。ジャニーズの作・演出・構成の舞台を長きにわたって支え続けたステージのプロフェッショナルだ。
芸歴が長いため、ジャニーズ交友も広くて深い。松崎は、嵐の相葉雅紀からかわいがられている。一番人気で今年はソロで地上波出演が多かった辰巳は、KinKi Kidsの堂本剛の大ファンで、入所のきっかけでもあった。今ではプライベートで交流があり、高級ギターを“買ってもらった”。その方法が剛らしく、粋だ。
ある日、剛が「昼ごはんを食べに行こう」と辰巳を誘った。食事後、自分の友人も合流して、家具屋など常連店を周った。辰巳に行きたい所があるか聞くと「ギターショップとか行ってみたいっすね」。剛は行きつけの音楽ショップに連れて行った。
店内で気になる楽器を聞くと「あの黒いの、気になりますね」とのことで、手にして弾いた。辰巳は一瞬にしてファン時代に戻り、直立不動で聴き入った。「むっちゃええなぁ」と剛が惚れたギターを、辰巳は購入しようと決めたという。ところが、一括で支払えないほどの高級品。分割払いにしようとした。すると、剛が「僕が払っとくから。これから遊びに行く時にゆっくり返してくれたらええから」と立て替えてくれた。
その日以降、辰巳から連絡があると会い、返済されると「まだええって」と返金を拒否。「○月○日、いかがでしょうか」と連絡が入るたびに、「ええで」と快諾して、食事。手渡されるお金を「まだええで」と断り続け、まだ1円も受け取っていない。
それは、すべて剛の計算だった。
「そもそも、ギターはプレゼントするつもりだったのです。立て替える手段を取ったのは、お金を返す名目があると、後輩が気を使わずに先輩を誘えるから。辰巳は、高級ギターとともに大好きな先輩と何度も会える権利も手に入れたのです」(スポーツ紙記者)
ふぉ~ゆ~がこの二十余年で見てきたのは、デビューする同期や後輩の後ろ姿ばかり。見届けた組数は数知れない。しかし、結成10年目の今年は初めてミュージックビデオを制作できた。10月には、初の冠番組「ふぉ~ゆ~の王道テレビ~これにかけてるんで」(CS・日テレプラス)がスタートした。
この日が来ることを、剛は待っていたに違いない。高級ギターは、その祝いと労いのギフトだったのだ。
(北村ともこ)