2月18日放送のNHKの朝の情報番組「あさイチ」のプレミアムトークに、朝ドラ「カムカムエヴリバディ」の音楽を手掛ける作曲家の金子隆博氏が出演。朝ドラファンを魅了した。
「『カムカムエヴリバディ』は朝の連続テレビ小説では初の、安子、るい、ひなたという3世代の女性主人公を100年にわたって描くというもの。番組冒頭では、この3世代それぞれのテーマ曲の違いを聞かせ、それぞれの性格の違いをかき分けている話や、あらすじと曲のタイトルからイメージをふくらませて200曲以上の曲作りをしたこと、メロディはまず鼻歌から始めるなどの作曲秘話が明かされました」(女性誌記者)
しかし、何よりもファンの注目を集めたのは、ドラマの物語を彷彿とさせる金子氏の病気だ。オダギリジョーが演じる、2世代目のるいの夫は将来を嘱望されたトランペッターだったが、原因不明の症状でトランペットを吹けなくなるという設定。ネットでは、以前からこれが作曲を担当した金子氏のエピソードを描いているのではないかと言われていた。実際、あさイチのインタビューで、金子隆博氏は米米CLUBのサックス奏者として活躍していた42歳の時に突然サックスが吹けなくなり、局所性ジストニアと診断されたと話している。
「ドラマでも吹きたいのに吹けない、精神的なものではないかと診断されるなど、辛い思いをするシーンが描かれましたが、金子氏も首が勝手に動いてしまい、どうしてもうまくサックスがくわえられない状態になってしまう、そうとしか表現できない状態だったのだとか。その病気と診断されるまでしばらくかかり、病名がわかったことで少し気が楽になったといいます。また、ドラマの内容にも触れ、やりたいのにできない辛さに言及し、ネットなどで夫ジョーが仕事をせずにぶらぶらしていることを非難しないでほしいとコメントするなど、ドラマとの関わりも示唆していました。
金子氏自身は、大好きなサックスが吹けなくなった時、奥様でカールスモーキー石井の妹のMINAKOさんから、『もしサックス吹いていなかったら何になりたかったの?』と聞かれ、ピアニストと答え、ピアノに向きあうことになったとか。もともと米米CLUBでもキーボードは弾いていたようですが、コンサートで弾くためにはもっと上手にならなくては、と腱鞘炎になるほどの練習を積んで奥様を心配させたそうです」(前出・女性誌記者)
番組の最後には、金子氏のピアノと“日本のサッチモ”との異名もあるジャズトランペッターの外山喜雄氏で、ドラマのテーマとして重要な「On the Sunny Side of the Street」のセッションを披露。ネット上には、「朝から贅沢だった」「泣いた」など称賛が多数寄せられた。
「カムカムエヴリバディ」はさまざまな伏線が配され、ドラマの小道具やネーミング、登場人物など随所に遊び心が満載で話題となっている。金子氏の病気についても知る人ぞ知るネットでの指摘だったのだが、あさイチへの出演でドラマの新たな仕掛けが解明され、ファンを大いに喜ばせたようだ。
(伊藤その子)