落語家・立川志らくが3月28日に自身のYouTubeチャンネル「芸談チャンネル」を更新。同日の第94回アカデミー賞授賞式で、コメディアンのクリス・ロックをビンタした俳優のウィル・スミスについて言及した。
同式典でプレゼンターを務めていたロックは、ステージ上で披露したスピーチの中で、スミスの妻で女優のジェイダ・ピンケット・スミスの名前を呼ぶと、彼女の短髪のヘアスタイルを揶揄するような言葉を発した。彼女は脱毛症に悩まされてきたことを公表しており、その辛さを誰よりも知るスミスは、ステージに上がり、ロックの顔に強烈な平手打ちのビンタをお見舞い。席に戻った後も、放送禁止用語を連発しながらロックへの怒りを露わにしていた。
志らくはこの前代未聞の騒動に関して、「(ロックのジョークを聞いた)奥さんは微妙な顔をしていた。ウィル・スミスはその時は笑っていたけど、はらわたが煮えくり返っていたんでしょう」と語ると、「暴力はいけないというのはわかりますけど、言葉でいくら言ってもわからないから手を上げるっていうね。感情論だと、私はウィル・スミスのほうが立派だなと思いますね。世界中の人が見ている中で奥さんを侮辱された、これは男として、やるしかしょうがないと思ったんでしょう」と述べている。
妻を思うスミスの男らしさに理解を示した志らくだが、一方で、「日本のアカデミー賞だったら、ああいう感じにはならないでしょうね」とも指摘。続けて、「あれを日本人がやったら、袋叩きだろうね。やっぱりハリウッドだから、夢物語みたいだから、日本人は許しちゃうのかな」と、日本国内では暴力で訴えることへの反感が強まる可能性が高いと推測していた。
「実際、ハリウッドを象徴するアクション俳優であるスミスによる、渾身のビンタの場面はまるで映画のような迫力がありましたが、アメリカ国内でも、彼の行動には賛否が巻き起こっています。アカデミー賞授賞式という、スミスにとっての晴れ舞台でもあった場面での暴行ということもあり、YouTubeにアップされたビンタシーンの動画には、『恥ずべき行為』『妻を侮辱された怒りはわかるが、あの解決策は野蛮すぎる』『暴力が許される社会であってはならない』との声も散見。よって、『日本だったら袋叩きだろう』と語る志らくには、ネットから『海外でも別にウィルの行動は受け入れられてはいませんよ』との声や、『もし、日本人がやったら、とありますが、プレゼンターがあれを言った時点で笑いは起きないと思いますし、平手の前に、会場から非難の声が飛ぶでしょう』『何度も笑いものにされ、辛い思いをしたことがない人にはわからないかもしれません』『ウィル・スミスに叩かれた彼の頬は痛かったかもしれませんが、彼の何気ない言葉で叩かれた彼女の心もそれ以上に痛かったと思います』など、様々な反響が寄せられています」(テレビ誌ライター)
なお、当のウィル・スミスは29日までに自身のインスタグラムアカウントを更新し、「クリス、あなたに公式に謝罪したい。私が間違っていたよ」と投稿。妻へのジョークについて「耐えることができず、感情的に反応してしまった」とし、どんな事情があれ、暴力によるレスポンスが間違っていたことを反省していた。
(木村慎吾)