お笑いタレントで映画監督・ビートたけしの“最後の映画”がお蔵入りになっており、その背景に契約を巡るトラブルがあったと8月3日、ニュースサイト「デイリー新潮」が報じた。
同記事によると、たけしは監督人生の集大成ともいえる映画「首」を西島秀俊主演で撮影し、昨年10月にクランクアップ。編集も9割近く終わっていたという。しかし、そこから作業はストップし、現在までお蔵入り状態になっているという。
その理由として、株式会社KADOKAWAの関係者がたけしとKADOKAWAの間で契約を巡ってもめたと告白。証言によるとKADOKAWAは、必死に製作費を集めたがなかなか資金がままならなかったという。そこで動画配信サービスNetflixに話を持ち掛け、動画配信の権利を買ってもらうことで製作費を賄おうとしたのだとか。映画は3億円強をKADOKAWAはじめ数社が出資し、そこにNetflixが10億円ほど出す予定だったとしている。
しかし、それを知ったたけしが「オイラにもよこせ」と言い出し、10億円の15%にあたる1億5千万円をほのめかしたが、KADOKAWAはいわれのない要求として難色を示したところ、たけしがへそを曲げたという。
この話に対して、たけしの知人の証言として、たけしは「俺はその話、聞いてないぞ」「何でそんな大事な話をしないんだ」「だまされているんじゃないか」と疑心暗鬼になっているだけだと説明。たけしサイドの弁護士も金銭関係の要求は否定しつつ、各契約の早期締結をお願いしていたが現在に至るも締結されないため、やむを得ず作業をストップしていることを認めたとされる。
ネット上では同記事に対して、《まず思ったのが、ネトフリから資金調達をすることを知らせてなかった点。話の中から事実のようですので、角川側が重要事項の説明をしていないのであれば、明らかに角川側に最初の原因があると思います》《これは明らかにカドカワ側に非があると思いますが、それを無理に逆にしようとするのはいかがなものか。製作契約を締結するにあたって、Netflixの話を出さず、カドカワ側が単独でNetflixに権利を売ってしまったと言うことでしょ》《映画はまず劇場で、という気持ちがおありなのではないかな?》など、たけしよりもKADOKAWAに非があるとする見方が大勢だ。
「たけしは記事が配信された同日に公式サイトで反論。映画『首』は最後の映画ではなく、現在はほかの映画の準備をしている真っ最中であるとし、問題の根幹はKADOKAWAの提案してきた契約内容があまりに一方的なものだったこと、Netflixが関わることも後から聞いたことで、それに関して金銭の要求は一切していないことを明かしています」(芸能記者)
またNetflixに限らず、近年、動画配信サービスは自社のオリジナル作品などを劇場公開とほぼ同時にネット配信する、あるいは劇場公開せず配信のみといった戦略を取るようになってきているという。
「国内の例では、Netflixの同時配信作は21年公開の映画『ザ・ハーダー・ゼイ・フォール:報復の荒野』『tick, tick… BOOM! : チック、チック…ブーン!』などがあります。
ほかにもアニメ映画『バブル』に至っては劇場公開より2週間早くネット配信。たけし原作の21年の映画『浅草キッド』は劇場公開されず、Netflix独占配信となっています。さらにNetflixオリジナル作品でなくとも21年公開の映画『ボクたちはみんな大人になれなかった』は劇場公開と同時にNetflixで配信されました。
この方法はこれまでの映画界における“劇場優先”の慣習を揺るがすことになり、将来的に映画産業を衰退させるという批判も起きています。劇場での映画体験を重視する映画製作者も多く、たけしも同様の考えを持っているとしたら、Netflixの出資に警戒するのはやむを得ないのでは」(前出・芸能記者)
たけしにとっては、金さえ集めればいいというわけでもなかったようだ。
(柏原廉)