新型コロナウイルス禍にあった行動制限が緩和され、全国旅行支援や水際対策緩和で外国人旅行客が増加している。年末に向け、各地で酉の市やクリスマスイベントも通常通り行われるようになった。
しかし、10月中旬からコロナ患者は増加傾向にある。新型コロナ対策分科会の尾身茂会長は10月13日、「この冬、かなり大きなコロナの感染拡大が起きるおそれがあるという認識を共有している。これにインフルエンザの流行が重なれば医療体制にさらに深刻な負荷がかかるおそれがある」と危機感をあらわにしている。
ところが、松野官房長官は11月9日、コロナ感染者が増加傾向であることについて「この秋以降の感染拡大がオミクロン株と同程度の感染力、病原性の変異株によるものであれば、新たな行動制限は行わない」との考えを示した。
都内で発熱外来を担当している看護師に話を聞いた。
「発熱した方は、今でも基本的に直接病院に行くのはNGで、事前に電話で症状等を話し、予約してから診察を受けることになっています。しかし、ある患者さんは、その予約電話が30分以上つながらず、あまりに苦しいので直接病院にやってきました。ようやく病院の玄関の前まで来たところで倒れ込んでしまい、検査の結果、その方はコロナ陽性でその後、お亡くなりになりました。最初にコロナが発見されてから、看護師は人材不足が続いており、スケジュールもタイトです。今回の増加傾向には皆、非常に危機感を抱いています」
専門家の危機感が杞憂になるよう、あらためて感染対策を守りたいものだ。