気持ちはすでに来年の後半にまで飛んでいるようだ。
放送中のNHK連続テレビ小説「らんまん」の視聴率が低調だ。第4週までの週間平均視聴率は15.4%、15.1%、15.8%、15.8%となり、15%台が定着。前作の「舞いあがれ!」が第2~4週に16%をキープしていたのとは対照的な展開となっている。
世紀の駄作と評された2作前の「ちむどんどん」でも、意外なことに第1週では16.3%をマーク。第4週には14.5%にまで落ち込んでいたものの、第7週以降は16%台に到達することも多かった。あまりのトンデモ作品と世間をにぎわせたことから、怖いもの見たさでチャンネルを合わせた人が多かったのかもしれない。
「そんな『ちむどんどん』に対して、現在の『らんまん』は毒にも薬にもならないという印象が否めません。身勝手な主人公に感情移入できない点は一緒ですが、植物学者の牧野富太郎博士をモデルとしていることから、創作要素が加えられているとはいえ、おおよその展開は予想が可能。5月1日放送の第21回では主人公の万太郎(神木隆之介)が自由民権運動の演説会に参加し、官憲に逮捕されていましたが、禁獄になることはないと分かりきっていますからね」(テレビ誌ライター)
そうなってくると朝ドラファンとしては「らんまん」を惰性で視聴しつつも、今後の作品に期待を寄せることになるだろう。すでに次回作の「ブギウギ」と次々回作の「虎に翼」が発表されているなか、視聴者の興味はまだ内容も分からない3作後の作品に向いているというのだ。
だが「ブギウギ」では水谷豊と伊藤蘭の娘である趣里がヒロインを務め、「虎に翼」では女優として高い実績を誇る伊藤沙莉が満を持して朝ドラヒロインに挑戦。朝ドラファンの期待も高まっているはずだが、なぜ3作後に興味が向いているのだろうか。
「その理由は現在再放送中の『あまちゃん』にあります。ヒロインの能年玲奈(現・のん)は当時19歳で、世間的にはほぼ無名の存在でしたが、天野アキが当たり役となりました。10年の時を経て若かりしころの能年を観た視聴者は、神懸かり的な可愛らしさにすっかり魅入られているのです。一方で『らんまん』は男性が主人公ですから、やはり朝ドラのヒロインは可愛らしい若手女優に限る! と再認識した視聴者が続出しています」(前出・テレビ誌ライター)
趣里は現在32歳、伊藤も「虎に翼」の放送中に30歳となり、若手女優とは言い難いところ。もちろん二人とも数多くのファンを持つ魅力的な女優であることは間違いないのだが、朝ドラに求められる<無名の若手女優がステップアップを果たす>という図式からは外れている点もまた、否めないところだろう。
果たして2024年後期の朝ドラでは、新進の若手女優がヒロインに抜擢されるのか。それとも向こう2作品の手法を踏襲して、実績のある女優を起用するのか。ともあれ今後も「らんまん」の人気が上向かないようであれば、早めに次々々期ヒロインを発表するのが、朝ドラ的には好手なのかもしれない。