5月23日に再放送されたNHK連続テレビ小説「あまちゃん」第44回では、春子(小泉今日子)と正宗(尾身としのり)の離婚話が決着。正宗がヒロインで娘のアキ(能年玲奈)に別れを告げる場面が描かれた。ここで正宗が口にした言葉に、思わず号泣してしまった父親たちが続出していたという。
離婚には同意した正宗だが、アキとの別れはどうにも辛い様子。毎年、クリスマスイブにはサンタクロースに扮してプレゼントを渡しており、純真無垢なアキは本物のサンタだと思い込んでいた。
「12月24日の夜、正宗は特撮ばりの変装メイクを施し、サンタに扮していました。変装セットは東京から持ち込んでいたはずで、どうやら彼は春子の実家がある北三陸にガチで移住するつもりだったようです。そのリアルサンタ姿でアキの部屋に忍び込み、枕元にプレゼントを置く正宗。眠っているであろうアキの顔を見つめていました」(テレビ誌ライター)
部屋から出ようとすると、アキはサンタのマフラーをつかみ、「今年も来てくれたんだ」と笑顔に。するとサンタはパパから伝言を預かっていると前置きし、正宗としてしゃべりだした。
正宗は、パパとママは別々に暮らすことにしたと離婚について報告。するとアキは「二人にとってそれが幸せならいいと思う」と答え、その言葉に正宗は自分との別れが辛くないのかとガッカリした様子だ。
それでもアキを愛している正宗は「パパからはね、とにかく元気で暮らせと。辛くなったり、さみしくなったら、いつでも会いに来い」と、父親としての愛情を言葉にして表現。最後は「待ってるぞ、アキ」と、アキが東京に戻ってくることに一縷の望みを懸けていたのだった。
「すると眠っていたはずのアキが、口角を上げてほほ笑んだのです。その姿に娘を持つ世の父親たちは思わず感涙することに。春子との離婚でアキとの別れを余儀なくされつつも、アキの心が自分から離れてしまったわけではないと正宗は実感できたことでしょう。そんな正宗と同様に、父親世代の視聴者たちは我が子への愛情を再認識することとなったのです」(前出・テレビ誌ライター)
本作でのアキは父・正宗との別れをとくに悲しむわけでもなく、ドライな父娘関係を象徴しているように見える。ただ実際には東京暮らしよりも北三陸の田舎で暮らすほうが性に合っているということであり、決して父親を嫌っているわけではなかったのである。
そんなアキの父親愛が、眠りながらほほ笑んだ笑顔に表れていた。父親なら誰でも、幼き娘の寝顔に見惚れた経験があるはず。正宗が見たアキの笑顔はきっと、彼女がまだ幼かったころに見せてくれた笑顔と一緒だったに違いないのだろう。