6月16日、NHK朝ドラ「らんまん」第55話が放送され、舞踏練習会の発足式が行われるシーンが展開された。
練習会設立に奔走した実業家の高藤雅修(伊礼彼方)と西村寿恵子(浜辺美波)がダンスを披露するのを前に、荘厳なクラシック音楽が演奏される室内で、人々はそれぞれ噂話に耽っている。
女たちは西洋式のダンスについて「殿方と抱き合って歩き回るんですって」と眉をひそめ、一方で男たちは、ダンスとは「曲の間、(相手に)好きに触っていいそうですよ」とゲスな欲望を表情に出す。
人々のこうした会話に、管弦楽協会理事の名須川正宗(町田水城)が「実に悲しい。この美しい演奏に誰も耳を傾けんとは」と憤慨すると、東京大学植物学教室の田邊彰久教授(要潤)も、「仕方がありませんよ、美を理解するには教養が必要ですからね」と、上から目線で出席者たちの教養の無さを鼻で笑ったのだ。
テレビ誌ライターが打ち明ける。
「この田邊発言で思い出したのが、お笑いコンビ・オリエンタルラジオの中田敦彦さんの“中田で笑うのって、結構知性いるから”という例の発言です」
中田は、自身のYouTubeチャンネルに投稿した「【松本人志氏への提言】審査員という権力」と題した動画の中でダウンタウン松本批判を繰り出した。そして動画の最後で「『中田で笑ったことねえから、お前が何を言おうが響かねえ』とか、そう言う人もいるんですよ」と切り出すと、「中田で笑ったことあるかないかの問題で言うと、中田で笑うのって結構知性いるからね」と持論を展開。
続けて「『オレ、ドストエフスキー面白いと思ったことないんだよね』とか『モーツアルトでノったことないんだよね』みたいな感じで、あんま言わないほうがいいよ。中田を面白いと思わないって、ドストエフスキー読めないとか、モーツアルトがわからないのと一緒だから」と、文豪や大作曲家を例に出して「後世恥かくから。知性が必要なんだよな、中田で笑うのは」と決め付けたのだ(この部分は動画から削除済み)。
「“中田の笑い”がドストエフスキーやモーツアルトに並ぶものなのかはさておき、彼の発言は自分を理解しない人間に対する不満が、歪んだ“選民思想”となって表れたもの。田邊教授の発言の裏にも、同じような思想が潜んでいる気がしてならないのです」(前出・テレビ誌ライター)
となると、気になるのは主人公・槙野万太郎(神木隆之介)と田邊教授の今後について。田邊教授と万太郎の関係性が、二人の考え方の相違によって崩れなければよいのだが…。
(石見剣)