10月5日、俳優の松山ケンイチが都内で行われた主演映画「聖の青春」(森義隆監督)の完成披露試写会に登場した。
同映画は29歳という若さで早世した天才棋士・村山聖の生涯を描いた感動作で、松山は役作りのために20キロも体重を増やしたという。
「一時は役作りとは知らない人たちから『劣化した』『顔がパンパン』などと囁かれ、激太りはネガティブな方向で話題になりました。ルックスを維持するために役作りしない俳優もいるなかで、松山さんには役者魂を感じます」(映画ライター)
太るのもたいへんだが、その後、体重を元に戻すのも簡単ではない。役作りのためとはいえ健康を損なったり、イメージが大きく変わってしまうリスクもある。
「役柄に合わせて徹底的な役作りをする『デ・ニーロ・アプローチ』の一種ですね。ロバート・デ・ニーロは役作りのために太ったりやせたり、髪を剃ったりすることで有名です。日本にも『デ・ニーロ・アプローチ』を実践している俳優は多いんですよ」(前出・映画ライター)
三國連太郎や金田龍之介、松田優作などが役作りのために抜歯したことはよく知られており、特に三國は老人役のために歯を10本抜いたという。渡瀬恒彦が役のために大型バスの免許を取得したことも有名だ。
最近でも堤真一は髪を抜き、北村一輝がチンピラ役で9本抜歯、鈴木亮平は病人役で20キロやせ、渡辺謙は役柄を掴むためにフォークリフトの免許を取得、宮崎あおいも7キロ増量している。
それだけのめり込みたくなる役柄に出会えることは、俳優にとって幸運なのだろう。「聖の青春」は11月19日から全国で公開される。松山の熱演に期待したい。
(笠松和美)