不貞行為や略奪愛……“危険な恋”をしたくなるのはなぜ?

 人はなぜ“危険な恋”に堕ちてしまうのでしょうか?

 例えば、芸能人。バレたら芸能人としての生命線を失う可能性が高いのに、不貞行為をしてしまう。やっぱり人は基本的にそれが好きなのです。なぜなのか? それは、人間誰もが持つ現状に反発したくなる【リアクタンスの心理】にあります。人間の脳は、禁止されたことを余計にしたくなるようにできているのです。

 また、“してはいけない”という禁止事項にも逆らいたくなりますが、“しなければいけない”という約束もやぶりたくなります。なかなか眠れないときに「羊の数を数えると眠れるよ」という話を聞いたことはありませんか? しかし、実際にこれをやってみると、数を数えるたびに自分がなかなか眠れないことを自覚してしまい、余計眠れなくなる人が少なくありません。これもまさに、法則を押し付けられていることへの反発から起きている心理ですよね。誰かに言われたことはやりたくないのです。恋愛もまさにそうで、禁じられた恋をしてみたくなるのが“人間の性(さが)”なのです。

 ところで、危険が好きなタイプの人は自己肯定感が低い人です。誰かに認めて欲しい、自分だけを見つめてくれる人がいたらうれしい。だけど、自分は誰かの本命になれるほど価値のある人間ではない……。そんな思いから、“自分が優位には立てない恋”に自然と身を置いてしまうのです。

 こうした「私は幸せになってはいけない」という心理は、過去に何度も恋愛で失敗をしていたり、誰からも認めてもらえなかったりという体験から作られているケースが多いです。人間心理は複雑ですね。

 そんな人でも、意識して「危険な恋をやめて幸せになろう」と心がけて、それをメモしたり言葉にしたりすれば変えていけます。自分次第で、危険な恋をし続けることもできれば、そこからサヨナラして幸せになることもできるのです。人間は変化する生き物。ただ、100パーセント抜け出すのは難しく、苦しい道のりともいわれています。

 ならば、いっそ危険な暮らしを続けてみますか? 私たち一般人は、著名人のようにスキャンダルに巻き込まれる可能性は限りなくゼロに近いですから、ある意味、危険を冒してもバレる可能性は低いですよね。そこの世界で生きるという選択も“なきにしもあらず”かもしれません。

 ただ、誰に見られているからというわけではなく、自分に誇りを持って生きてはいたいですよね。危険な恋をする自分は、本当に理想の自分なのか? それによって傷付けている人はいないのか? そうしたことを考えながら行動するのが“オトナの女”というものなのかもしれませんね。

安藤房子(あんどうふさこ) 作家・恋愛心理研究所所長。離婚を機に日本初の恋愛カウンセラーとして独立。メールカウンセラーの草分け。心と身体両面からのアプローチで婚活・恋活女子を応援。著書は韓国・中国でも翻訳出版。心理テスト作成やメディアでMCとしても活躍中。

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