ツイッターが日本市場に本格導入した「背景情報」の機能が話題を呼んでいる。
昨年12月から試験運用されていた「背景情報」とは、任意のツイートに対して第三者が「他のユーザーにとって役立つと思う背景情報」を追加できる機能だ。この機能により明らかなデマや誹謗中傷が視覚化され、ツイッターユーザーへの注意喚起になると評判になっている。
この背景情報機能で大きく注目されたツイートには、カナダ国籍を取得した大学教授を取り上げた毎日新聞の「日本人なのに不法滞在と宣告されました」といった記事や、東京新聞の記者がIAEA(国際原子力機関)の中立性に疑義を訴えたものなどがあげられる。
毎日新聞のツイートは1100万件、東京新聞記者のツイートは1350万件と膨大な表示を集める一方で、いいねの割合は数千分の1というごく小さいものに。どうやらこれらの記事に追加された「背景情報」を多くのユーザーが参照しているようだ。
このように7月の本格導入から早くも大きな効果を発揮している背景情報。ただ背景情報は、ツイッターが用意する「コミュニティノート」に参加しているユーザーなら誰でも追加が可能だ。背景情報が参考になったかどうかを投票する機能も用意されているものの、特定の勢力が数に頼んで背景情報を自在に操る恐れはないのだろうか?
「ツイッターではそういった懸念に対する対策も施しているようです。というのも背景情報を追加できるアカウントには条件が定められており、普段から過激なツイートやデマを飛ばしているアカウントは参加できないようになっています」(IT系ライター)
ツイッターでは、コミュニティノートの協力者になる条件として、以下の3条件を示している。
・Twitterルールへの違反についての通知を最近受け取っていないこと
・Twitterに登録してから6ヶ月以上経過していること
・電話番号が認証済みであること
これにより、いわゆるニワカのアカウントでは背景情報の追加は不可能だ。また一番目の「違反についての通知」という条件も、特定のユーザー層にとってはハードルが高いところ。普段から他者を攻撃しているアカウントでは、背景情報を追加できる可能性が大幅に下がるのである。
また、背景情報を「役に立ったか」どうかを評価する機能にも工夫が施されているという。一見、人気投票に見えなくもない機能だが、裏側では様々な評価を行っており、特定の思想を持った勢力による組織票を排除することも可能なようだ。
「過激なツイートをしがちなアカウントの中には、リプライ制限機能を利用して、批判的なリプを受け付けないようにしているケースも少なくありません。その場合でも背景情報を制限することはできないので、誤情報やデマを流しっぱなしということは不可能になりました」(前出・IT系ライター)
なかにはこの背景情報機能を苦々しく感じているユーザーもいることだろう。その一方でデマや誤情報、誹謗中傷の温床と揶揄されていたツイッターの正常化に期待する声は大きいようだ。