ドラマならではの脚色だったのかもしれない。
7月14日に放送されたNHK連続テレビ小説「あまちゃん」第89回では、アイドルグループ「アメ横女学園」の国民投票で落選し、解雇処分になったヒロインのアキ(能年玲奈)が、ぎりぎりで復活していたことが判明。それが現実のアイドルとは逆のケースになっているという。
国民投票ではアメ女全メンバーのうち、40位までがグループに残留。アキが所属するアメ女の下部組織「GMT6」では入間しおり(松岡茉優)が41位、アキが42位で、二人は解雇処分となるはずだった。
ところが29位に入っていたGMT6の宮下アユミ(山下リオ)が彼氏と一緒にいるところを撮影されてしまい、自らグループを去ることに。これで順位が繰り上がり、しおりは40位で残留が決まったのだった。
「さらに、奈落組(31~40位)に落ちたアメ女メンバーがフェードアウト(脱退)したことで、42位だったアキも40位に繰り上げ。解雇処分をぎりぎりで免れることになりました。上野の街を寂しげに歩くアキが『嬉しいとかホッとしたというより、こうなることを期待していた自分に腹が立ちました』とつぶやいていた姿が実に印象的でしたね」(アイドル誌ライター)
そんな波乱の“国民投票”が、AKB48の選抜総選挙をモチーフにしていることは、アイドルにさほど興味のない人でも気が付くところ。作中の2009年には第1回の選抜総選挙が行われており、タイミング的にもぴったりだ。
だが「あまちゃん」の国民投票では、AKB48の選抜総選挙にはなかったシステムが導入されていたという。それこそがしおりとアキがグループに残れた理由だというのである。
「2010年6月に開票された第2回選抜総選挙では、研究生メンバーが40位に滑り込み。しかし彼女はわずか3日後に開催された研究生のセレクション審査で落選し、AKB48に加入できなかったのです。これで40位が空位になったのですが、運営側は40位までが当選だと事前告知していたことを理由に『繰り上げ当選をさせる事は致しません』との見解を公表。アメ女の国民投票とは異なる結果となっていました」(前出・アイドル誌ライター)
2013年に放送された「あまちゃん」では、AKB48で繰り上げ当選しなかった経緯も当然に知っているはず。しかし物語をドラマチックに演出するために、国民投票ではあえて繰り上げ当選の仕組みを導入したのだろう。
なおAKB48では2016年の「第67回 NHK紅白歌合戦」に出場するメンバーを選ぶ「夢の紅白選抜」において、21時以降に出演できない中学生メンバーが選ばれたことから、圏外のメンバー2人が繰り上がっていた。どうやらNHKに関しては「繰り上げ」が正解なのかもしれない。