人気お笑いコンビ「阿佐ヶ谷姉妹」とJR東日本とのコラボが話題を呼んでいる。その陰に、意外な事実が隠されているようだ。
東京・杉並区の阿佐ヶ谷を由来とする阿佐ヶ谷姉妹は、実際に現地に住んでいることもあり、いまや地元を代表する有名人となっている。なにしろ「阿佐ヶ谷アパートメント」(NHK)や「阿佐ヶ谷ワイド!!」(テレビ朝日)など、地名を前面に押し出した冠番組を持っているほどだ。
彼女たちの最寄り駅であるJR阿佐ケ谷駅は、新宿から各駅停車で5駅目の閑静な住宅地に所在。若者文化の聖地として知られる高円寺駅の隣駅であり、かつては高円寺と知名度の格差が大きかったものだが、現在は阿佐ヶ谷姉妹の活躍もあって日本中に知られる駅名となった。
「お笑い好きの間では知名度が高く、爆笑問題を擁する芸能事務所のタイタンが阿佐ケ谷駅の近くにオフィスを構えるほか、駅前のマクドナルドではダンディ坂野が長らく働いていました。ニッチェ江上やあばれる君、やしろ優らによる飲み会の『阿佐ヶ谷会』には、俳優の斎藤工も参加していたものです」(阿佐ヶ谷在住ライター)
その阿佐ケ谷駅では9月末までの間、阿佐ヶ谷姉妹とのコラボキャンペーンが進行中。改札の上には「阿佐ヶ谷姉妹駅」と書かれた巨大なバナーが踊り、エスカレーターの手すりには渡辺江里子と木村美穂の顔が印刷されている。構内にも二人が登場するポスターが所狭しと張られており、まさに阿佐ヶ谷姉妹が阿佐ケ谷駅をジャックした形だ。
7月5日に始まったキャンペーンは開始当初に話題になっただけではなく、毎日新聞では8月29日付の記事で紹介。あと1カ月はこの様子が見られるとあって、これからも阿佐ヶ谷姉妹を目当てに阿佐ケ谷駅を訪れるファンも少なくないだろう。
そんなコラボを巡って、ほぼ地元民にしか知られていない秘めた事実が浮き彫りになってきたという。その事実とは実のところ、この記事にも表れているのである。
「阿佐ケ谷駅という表記に注目すると、小さな『ヶ』ではなく、大きな(普通の)『ケ』であることが分かります。同駅から600mほどの距離にある東京メトロの南阿佐ケ谷駅でも一緒で、駅名表記はあくまで大きな『ケ』なのです。しかも住居表示は『阿佐谷北』や『阿佐谷南』であり、ケの文字すら消失。このように阿佐ヶ谷という表記には微妙な揺れがあります」(前出・阿佐ヶ谷在住ライター)
この「ヶ」と「ケ」の違いは阿佐ヶ谷に限らず、東京都内では「四ツ谷駅」や「市ケ谷駅」、「千駄ケ谷駅」でも同様になっている。どうやらJRの駅名では箇の略字と言われる「ヶ」ではなく、大きな「ケ」に統一されているようだ。
これで面白い現象が起きているのが神奈川県茅ヶ崎市だという。行政面ではほとんどの自治体で略字の「ヶ」を避けているが、茅ヶ崎市は埼玉県鶴ヶ島市などと並び、正式名称として小さな「ヶ」を使っている数少ない自治体のひとつ。そのため市名は「茅ヶ崎」なのに、駅名は「茅ケ崎」という乖離が発生しているのである。
ともあれ今回の「阿佐ヶ谷姉妹駅」キャンペーンで阿佐ケ谷駅を訪れる機会があったら、表記の違いに注目して見てはいかがだろうか。