どうせならここにもジャニーズ基準を適用してほしかった…。そんな恨み節も聞こえていたようだ。
NHK BSプレミアムで再放送されていた連続テレビ小説「あまちゃん」の最終回が9月30日に放送。本放送から10年後の今年、新たに多くの「あまロス」を生み出すことになった。
ここで大きな注目を浴びたのが、幻の最終回だ。本編は全156回だった「あまちゃん」だが、2013年末の第64回NHK紅白歌合戦では「おら、紅白出るど」と題して、特別編・第157回が実現していた。
その特別編ではヒロインのアキ(能年玲奈)や相方のユイ(橋本愛)に加え、母親の春子(小泉今日子)や女優の鈴鹿ひろ美(薬師丸ひろ子)らがそれぞれの役名で登場。「潮騒のメモリー」や「暦の上ではディセンバー」などの劇中歌を披露した。
「この第157回はNHKオンデマンドにて有料で視聴可能。単品購入なら110円なので、多くのあまちゃんファンがネット視聴を楽しんでいます。ここで初めて幻の最終回を観たファンに加え、10年前に紅白を生視聴したファンからもあらためて、出演メンバーに関する疑問と不満の声があがっているのです」(テレビ誌ライター)
その不満とは、劇中アイドルグループ「GMT5」の登場シーンで、小野寺薫子(優希美青)とベロニカ(斎藤アリーナ)が出演していないことだ。また同回では「暦の上ではディセンバー」の歌唱を担当した実在のアイドルグループ「ベイビーレイズ」がアメ横女学園の衣装で参加しているが、同グループからも渡邊璃生がやはり出演していなかった。
彼女たちが出演しなかった理由はシンプルで、いずれも中2だったから。労働基準法の定めにより年度末で15歳未満の者は午後8時以降の労働が禁じられており、あまちゃん特別編の放送時間にはもう午後8時を過ぎていたのである。
しかし、ファンの間からは「以前は中学生だって紅白に出られたのに!」という怒りの声があがっているというのではないか。そんな違法なことがあったのだろうか。
「1988年の第39回紅白歌合戦には『光GENJI』が初出場。しかしメンバー7人のうち赤坂晃と佐藤敦啓はまだ中3で、本来なら出演できない年齢でした。またバックダンサーはSMAPが務めており、稲垣吾郎は中3、草彅剛は中2、香取慎吾には至っては11歳の小6だったのですから驚きです」(前出・テレビ誌ライター)
それにも関わらずこれらジャニーズ事務所の所属メンバーが午後9時放送開始の紅白歌合戦に出演できたのはなぜか。それは1988年7月末に労働省が発した「芸能タレント通達」、通称・光GENJI通達が根拠となったからだ。
これは前年にデビューし、1988年に「パラダイス銀河」で日本レコード大賞を受賞するなど爆発的な人気を誇っていた「光GENJI」が、中学生メンバーがいるにも関わらず20時以降の歌番組に出演していたことが発端となったもの。
本来なら労働基準法違反に当たるのだが、同通達は年少者タレントの芸術性や人気など4つの要件を満たす者は例外扱いとするものだった。
「しかし同通達には根強い批判もあり、NHKを含むテレビ局では15歳未満の者を21時以降に生出演させない自主規制を行うことになりました。それゆえ2013年の紅白ではあまちゃん特別編で、小野寺ちゃんたちが出演できなかったのです」(前出・テレビ誌ライター)
現在ではもちろんジャニーズ事務所の所属メンバーであっても、テレビ局による自主規制の例外ではなくなっている。そのジャニーズ事務所も10月2日の記者会見で「廃業」することを発表。「あまちゃん」再放送の最終回からわずか2日後というタイミングに、時代の巡り合わせを感じる視聴者もいるのではないだろうか。