そんな理由ってあり!? そう驚いた視聴者も少なくなかったことだろう。
NHK BSプレミアムにて10月2日、連続テレビ小説「まんぷく」の再放送がスタート。安藤サクラが演じるヒロインの福子は、日清食品の創業者・安藤百福の妻・仁子がモデルとなっている。
その福子は美味しいものを食べることが大好きで、初回から食事シーンが続出。女学校の同窓生たちと屋台で初めてのラーメンに挑戦し「美味しい♪」と笑顔を見せる場面は、本作の今後を垣間見せているかのようだ。
そんな「まんぷく」は2018年後期の作品で、まだ5年前にすぎない。9月まで放送されていた「あまちゃん」が10年前の作品だったことに比べると、「まんぷく」をリアルタイムで観ていた視聴者の記憶はより鮮明だろう。
ところがたった5年前にも関わらず、現在の作品だったらまずありえないような描写が見受けられたというのである。福子は昭和13年当時の大阪で最も大きなホテルの大阪東洋ホテルに就職。昼休みにお弁当を食べていると、厨房スタッフから「おっ、新入りか!?」とちょっかいを出されていた。
ここで配属が電話交換室だと応えると、相手は「せやろなぁ」と納得顔に。「新入りの子はな、べっぴんは客と顔を合わせる部署。そうやない子は裏方に回されるんや(笑)」と福子をからかったのだった。
「笑顔だった福子は一瞬の間をおいて『ん?』と思案顔に。その場面に視聴者から『こんなあからさまなルッキズムってありなの!?』と驚きの声があがっていたのです」(テレビ誌ライター)
第1回放送では戦前が舞台ゆえ、作中の価値観も昭和初期そのもの。母親の鈴(松坂慶子)は、福子の姉で結婚を控えている咲(内田有紀)に対して、妻は夫の後に寝て夫より早く起きるものだとのアドバイスを与えていた。まるで「関白宣言」の歌詞さながらだが、それが当時の一般的な価値観だったのだろう。
それに従えば、ホテルのような施設で従業員の配属を、顔を基準に決めるというのもありえた話。実際、福子がフロント係の顔を見に行った時、そこにいた恵(橋本マナミ)は明らかにべっぴんさんという設定に沿った配役だったはずだ。
「とはいえ話の流れ的には、ヒロインを演じる安藤のことをべっぴんではないと評しているのも同然。物語の時代考証としては正しくても、ルッキズムに厳しい目が向けられる2023年現在の基準では、特定の出演者を非べっぴん扱いすることには批判の声があがるのは確実です。それがわずか5年前にはこれといって問題にならなかったのですから、ここ数年の時の流れがいかに早いのかを実感するところではないでしょうか」(前出・テレビ誌ライター)
思えば9月まで放送されていた「あまちゃん」でも、ヒロインのアキ(能年玲奈)はやたらとブス扱いされていたもの。どうやら平成の時代にはまだ、そういった表現も問題なかったようだ。