羽がないからこそ視聴者を魅了していたようだ。
10月10日放送のNHK連続テレビ小説「ブギウギ」第7回では、橘アオイ役の翼和希が華麗なダンスを披露。そのあでやかさで話題をさらった。
アオイはヒロインの鈴子(澤井梨丘)が入団した梅丸少女歌劇団(USK)の男役トップスター。蒼井優が演じる娘役の大和礼子と共に、演目「胡蝶の舞」で蝶の舞を演じている。
同演目ではアオイが黒蝶を、礼子が白い蝶を演じ、二人は大きな羽をたなびかせながらダンス。だがこの日は鈴子ら練習生たちが羽を干したまま忘れてきてしまい、アオイは羽なしで踊ることを余儀なくされていた。
「胡蝶の舞にも関わらず羽なしで出てきたアオイに観客がどよめくなか、彼女は普段よりも回転の増した激しいダンスを披露。その鋭さや華麗さに、蒼井優のダンスにばかり目を奪われてきた視聴者も《これはスゴすぎる!》《ガチでダンス上手い》と驚いていました。それもそのはず、アオイを演じる翼はOSK日本歌劇団の男役スターであり、今回は彼女の本領が発揮された形です」(テレビ誌ライター)
そのOSK日本歌劇団は、ヒロイン鈴子らが入団した梅丸少女歌劇団のモデル。つまり翼は自身の先輩を演じている形となっている。2011年に89期生として入学した翼は2年後に劇団員としての初舞台を踏み、現在は大舞台での主演も務める押しも押されぬスターの一人。翼がアオイの役を演じるのも納得だ。
そんな翼が実は、ヒロインの鈴子と同じような経験をしていたという。身長は非公開ながら決して小さくはなく、150センチ程度でチビ扱いされている鈴子と見た目は大違いだ。そんな翼と鈴子のどこが同じだというのか。
「翼は宝塚音楽学校を受験するも不合格となり、レッスンを受けていた教室の先生からOSK日本歌劇団の存在を教えてもらい、願書を提出。合格したという来歴を持ちます。これは花咲音楽学校に不合格となるも、父親にUSKの公演に連れて行ってもらい、押しかけ入団した鈴子の経歴とそっくり。それゆえ翼は鈴子が胸に秘めた想いを深く理解できる立場かもしれません」(前出・テレビ誌ライター)
第7回では自分の羽を忘れてしまった鈴子らに連帯責任を問うなど、厳しい先輩の役を演じていた翼。トップスターでありながら鈴子たちの教育係も担当するアオイの役に、彼女は実にピッタリなのかもしれない。