桜井画門の人気コミック「亜人」が、「踊る大捜査線」シリーズの本広克行監督、佐藤健主演で実写映画化されることが決まった。主人公の“亜人”は体を再生できる不死身の新人類。過激なアクション描写になりそうな物語なのだが、それを映画「るろうに剣心」(12年・14年)で素晴らしい身体能力を披露した佐藤がスタントマンなしで挑戦するということで、原作ファンからも期待が集まっている。しかしその一方で、作品のチョイスに「やっぱりアクション?」という声があるのも現状だ。
今年は佐藤にとって俳優デビュー10周年の節目の年。07年に「仮面ライダー電王」(テレビ朝日系)で主演を果たして注目を浴び、10年にはNHK大河ドラマ「龍馬伝」で時代劇に初挑戦した。そこで出会った大友啓史監督とのコンビによる「るろうに剣心」は、3部作合計で興行収入125億円超の大ヒットに。昨年は「天皇の料理番」(TBS系)で演技的にも評価され、まさに順風満帆の勢いがあった。しかし今年は、川村元気のベストセラー小説を映画化した「世界から猫が消えたなら」が興収12億3000万円、現在公開中の「何者」も10億円台にとどまるのではないかと予想され、雲行きが怪しくなってきているのだ。
「大ヒットを連発する東宝の配給、原作の知名度、共演者の顔触れなどを考えると、今年の2作品の数字は予想を下回るものと言っていいでしょう。過去に彼が脚光を浴びたのはアクション主体で、特に映画に関してはノン・アクション作品での集客力の弱さを露呈した形になってしまいました。ただ、『亜人』では驚愕のスピード・チャンバラを作り上げた『るろうに剣心』のチームがアクション指導を担当しますので、その要求に彼が応えれば起死回生の作品になる可能性もあります」(映画ライター)
「亜人」が成功した場合は、アクションスターのイメージがさらに強まることになる。デビューから10年、佐藤健の俳優人生において、ここが分岐点になるかもしれない。