10月は乳がん啓発月間で日本でも各地で乳がんにまつわるイベントや発信がされていました。2021年のデータでは、生涯に乳がんを患う女性はなんと9人に1人。20年前は20人に1人だった乳がんですが年々増えています。著名人の方でもよく聞くイメージがあると思いますが、女性が患うがんの中で最も多いがんです。
死亡率としても、年代別に見ると30歳から64歳まででは1位になります。以前から40代以降は検診が促されていますが、最近では若年層でも罹患数が増えているので若い方もしっかり気にかけていく必要があります。
今回はまずは乳がんを知ろう!ということで、クリニックでがんを専門に診療を行いYouTubeでゼロからわかるがん医療をテーマに「ゼロがんチャンネル」を配信している人気YouTuberドクター・銀座みやこクリニックの濱元誠栄医師に、乳がんの基礎知識を教えていただきました。
まず乳がんが増えている理由の一つとして、欧米型の食生活が浸透したことが関係しています。具体的には、高脂肪・高カロリー食が乳がんのリスクを増加させます。
人種によるものではないかという説もありましたが、日本在住の日本人とハワイ在住の日本人ではハワイ在住の日本人の方が乳がんの罹患率が3倍だったというデータもあることから、やはり食生活は乳がんの発生率に大きくかかわっているといえます。
乳がんのリスク要因は他にもいろいろあり、女性ホルモンであるエストロゲンも乳がんの成長に大きくかかわっています。初潮が早かった人、出産経験がない人、閉経が遅い人など、エストロゲンにさらされている期間が長い人はリスクが高くなります。喫煙者やアルコール、糖尿病も乳がんリスクを高めます。ピル(経口避妊薬)の長期服用もリスクとなりますが、1万人に1人というわずかなリスクだけなので、避妊や生理痛のコントロールなどのメリットを優先させるべきだと思います。最後に、家族に乳がんがいる人も乳がんになるリスクが高くなります。
乳がんが見つかる主なきっかけは、乳がん検診と自己触診によるしこりの触知です。乳がん検診は40歳からですが、上記のリスク要因が当てはまる方は、40歳未満でも乳がんを意識して自己触診を行い、気になる症状があれば乳腺科で検査を受けてください。
乳がんは早期発見すれば5年生存率100%と予後が非常に良いがんです。早期で発見するためには、日ごろから意識することが重要です。
(安藤恵美)