11月16日に開幕した、英国のダンサー&俳優のアダム・クーパーと組んだ主演舞台「レイディマクベス」で、これまで見せたことのない「ブラックな演技」で観客を魅了している女優・天海祐希。元宝塚歌劇団の月組トップスターの彼女が、劇団員によるイジメやパワハラ疑惑に揺れる同歌劇団に関し、口にしていた“意味深な”言葉が今、改めて注目されている。
同劇団では、103期で宙組に所属していた25歳の女性Aさんが9月に自殺し、背景に複数の上級生からのイジメや長時間労働による疲弊があったと報じられている。遺族の代理人・川人博弁護士によれば、「前髪の作り方を教えてあげる」と言って高温のヘアアイロンを額に押し当てられるケースや、約1カ月半にわたり1日3時間程度の睡眠しかとれない状況などが、Aさんを心身ともに苦しめたという。また、同劇団における上級生と下級生の縦の関係が、一般の様々な組織や会社以上に、“異様なまでの上下関係が徹底されている”とも述べている。
そうした中、過去に同劇団に身を置き、いまや日本の芸能界における大物女優の一人となった先輩による“意味深な言葉”が発せられたのは今年4月。俳優・松下洸平がホストを務める週刊誌「AERA」の対談連載「じゅうにんといろ」における、天海の発言である。
「今年4月期のドラマ『合理的にあり得ない~探偵・上水流涼子の解明~』(フジテレビ系)で天海と共演した松下は、撮影現場で天海から宝塚時代の話を聞くことが多かったと振り返り、『テレビや雑誌などで宝塚のことをお話しになる機会はあまりないんですか?』と尋ねました。これに天海は『その話は…あまりしないようにしてます』とし、『“宝塚で苦労したこと、大変だったことは何ですか?”と聞かれることはよくあります』と宝塚での『当時の裏話』を求められることが多いと説明。しかし、『裏で何があって、私がどんな思いでいたかを情報として入れたくないじゃないですか。特にネガティブなことや、こんな苦労してました、なんて話をすることは、良いことだとは思えないんです。これは宝塚の教えということではなく、私自身の考えでね』と、在籍当時のエピソードを語らないようにしていると明かしました」(テレビ誌ライター)
天海は1987年に宝塚歌劇団に入団し、わずか6年で月組トップスターへ就任すると、95年に退団し、芸能事務所へ移籍。同じ月組のレジェンドには、女優・大地真央がいるが、彼女も入団からトップスター就任までは9年の時間を要しており、天海がいかに異例のスピード出世を遂げていることがわかる。
イジメや嫉妬の対象になってもおかしくないエリートだった天海。ドラマの現場で松下には話しても、メディアには劇団エピソードをいっさい語らないというポリシーが意味するものとはいったい何か。現在の劇団をめぐる報道にも複雑な胸中を抱いているが、改めて本人から語られる可能性は今のところ低そうだ。
(木村慎吾)