日本の化粧品ブランドは肌に関する研究を日夜進めており、新たな化粧品には最先端の研究結果が反映されているようですが、最近ではどのような研究が行われているのでしょうか? 大手化粧品ブランドの最新研究をみていきましょう。
■資生堂「肌の免疫研究」の最新知見とは?
日本を代表する化粧品ブランドといえば資生堂ですが、30年以上に及ぶ「肌の免疫研究」の最新知見として、「免疫が“肌の老化を予防”している」ことを2023年11月28日に開催された発表会「Shiseido Innovation Conference 2023 – Beauty for the Future -」で紹介していました。
同社みらい開発研究所の加治屋さんによると、「免疫細胞が多い肌ほど老化細胞は少なく、免疫細胞が肌の老化細胞を除去する役割を持っていた」ことを新たに発見したとのこと。他にも、発表会では「今まで明らかにされていなかった肌・身体・心の関係性を網羅的に解明した」ことも伝えられました。
また、「肌を改善・予測・予防に導く独自の美のアルゴリズムを構築することにより、“肌に影響を与える要素”を洗い出し、従来、見過ごされていたその要素をケアすることで、肌がこれまでにないよい刺激を受け、美しい肌へとつながることが期待できる」との発言もありました。
発表会当日は、このアルゴリズムに基づいた鼻骨格測定、歩容測定、肌・身体・心の複合測定(自律神経・血管・握力)の3つの測定体験が提供されました。
体験者からは、「スマホで一瞬に鼻骨格を感知し、将来予想される肌悩みの解説が見られて感動!」「歩き方など体のバランスが肌の変化に影響するとは、言われてみれば確かに納得。新しいロジックを知ると、スキンケアへの向き合い方も変わってきて、それだけで肌がシャキッとした気も」との声が挙がりました。
将来的に、このアルゴリズムを2,000以上の肌・身体・心の関係性を含むものへと進化させていく予定で、2030年までに3万人、150万個のデータを蓄積していく計画なんだとか。壮大な計画に期待が高まりますね。
■花王とファンケルの研究結果にも注目!
花王やファンケルも研究を進めており、さまざまな研究結果をレポートしています。
花王のスキンケア研究所・マテリアルサイエンス研究所・解析科学研究所・生物科学研究所は、「分泌皮脂中の成分である不飽和脂肪酸が、皮膚のバリア機能に悪影響を及ぼし、乾燥を引き起こす可能性がある」ことを見い出しています。
そして、新たに開発した技術を用いることで、「不飽和脂肪酸の肌への接触を抑制することにつながる」と考えているそう。これは、肌乾燥に悩んでいる人には朗報ですね。
また、ファンケルのビューティサイエンス研究センターは、「敏感肌のバリア低下と老化の共通要因」に関する新知見を発表。
北里大学大村智記念研究所、北里大学医学部形成外科・美容外科学のそれぞれとの共同研究で敏感な肌状態のメカニズム研究を進める中、「細胞同士のコミュニケーションを担うタンパク質『CCN1』が、敏感な肌状態と老化の共通の要因である可能性が明らかになった」そうです。
そして、「化粧品などの新規原料であるトレハンジェリンが、その要因に対して有効な働きを持っている」ことを見出したそうです。今後、敏感肌の人向けへの商品開発が期待できますね。