実のところ戦略としては正解だったのかもしれない。
元卓球日本代表の福原愛が1月28日、中国でのライブコマースに初挑戦。様々なメディアに取り上げられるも、販売個数が2375個に留まり、売上高も日本円で50万円に満たなかったと報じられている。
ネット上では福原の流ちょうすぎる中国語に驚くファンもいる一方で、<残念な人になった><迷走してるなあ>といった困惑の声も続出。かつて日中を股にかけて活躍した人気者が落ちぶれたとの印象を持つ人が少なくないようだ。
だが実際のところ、今回のライブコマース初挑戦は成功の部類だと評する向きもある。それは中国のライブコマース市場を知れば明らかだというのである。
「ネット版のテレビショッピングと言えるオンラインコマースは、中国での市場規模が2021年時点で約2兆元(約41兆円)にも達しており、昨年はその2倍近くに増加したとの予測もあります。日本では消費者向けのEC市場全体で13兆円ほどですから、いかに中国のオンラインコマースが巨大な市場なのかが分かるというものです」(週刊誌記者)
福原は今回、自身のTikTokでライブコマースを実践。これはあくまでテストケースだと言えそうだ。中国では淘宝(タオバオ)や京東(ジンドン)といったトップEC企業もライブコマースに力を入れており、新参者が参入する場合は審査が必要。いくら福原が有名人だと言ってもいきなり大規模にライブコマースを行うのは難しく、まずは小さく始めたと見るべきだろう。
それに加えて今回のライブコマースで注目すべきは、福原が「蔬果園(Suk Garden)」というブランドの製品を紹介していたこと。蔬果園はランドリービーズを主力製品として急成長しており、同商品では各ECサイトでトップクラスの売上を誇っているという。
「蔬果園ではスキー選手の谷愛凌(アイリーン・グー)をアンバサダーに起用。米中ハーフの彼女は2022年の北京五輪にてビッグエアとハーフパイプの2冠に輝いた金メダリストで、中国では人気が爆発。ティファニーやルイ・ヴィトン、ポルシェなど20社超のブランドと契約を結んでいます。それほどのスーパースターと契約を結べるほど勢いのある蔬果園とタッグを組めたこと自体、福原が中国ではまだまだビッグネームであることを示しているのです」(前出・週刊誌記者)
卓球の五輪銀メダリストという肩書きは、日本以上に中国では大きなインパクトがある。その知名度を活かしてライブコマースに本格参入すれば、中国全土で人気の「コマーサー」になれる可能性も小さくない。
しかも35歳になった今、洗濯用のランドリービーズという商品もママである福原にはぴったりの商材。日本では落ちぶれたと見られがちだが、実はきっちりと計算したうえでのライブコマース出演だったのではないだろうか。