こんな状況、どう考えてもありえないよね? 視聴者からの呆れ声が止まらないようだ。
2月20日放送のNHK連続テレビ小説「ブギウギ」第98回では、ブルースの女王こと茨田りつ子(菊地凛子)が、ゴシップ誌「真相婦人」の記者・鮫島(みのすけ)にハメられる様子が描かれた。
鮫島はヒロイン・スズ子(趣里)のライバルと目されるりつ子を直撃。スズ子が「ワテと違うて歌しかない茨田りつ子は可哀想や」と語っていたとのデタラメを吹き込み、その言葉に憤ったりつ子から「あの子もおしまいね、ブギも終わりよ」との言葉を引き出していた。
「鮫島はりつ子の言葉を見出しに使いつつ、自分の語ったデタラメについては触れずじまい。一方でスズ子が撮影所に2歳の娘を連れてきていることに言及し、上手いこと記事を構成していました。このあたりの描写はゴシップ誌のやり口を上手く再現しており、まだよかったのですが…」(週刊誌記者)
大げさではあるものの、鮫島の取材手法は十分にありえるものだ。だが一方で今回のストーリーには、あまりにも不自然な個所が散見されたという。
そのひとつは以前から指摘されている、スズ子の私生活だ。恋人・愛助の忘れ形見である娘の愛子を育てつつ、芸能活動を続けているスズ子。2歳の愛子をマネージャーの山下(近藤芳正)に預けることはあれど、自宅では炊事・洗濯・掃除といった家事を自分でこなしている。
「常識的に考えて、ブギの女王として活躍する人気芸能人のスズ子が、家事と育児を全部自分でこなしているはずがありません。マネージメント側がお手伝いさんを雇ったり、住み込みの女性マネージャーを付けるなど、身の回りの世話をするのが当然でしょう。ところが作中でのスズ子は専業主婦さながらの生活を送っており、売れっ子芸能人らしさは皆無。食事も基本的に自炊ですが、まさか食材も自分で買い出している設定なのでしょうか」(前出・週刊誌記者)
本作を巡ってはスズ子からスターらしさが感じられないという声も少なくない。それもそのはず、本来なら1日が24時間では足りないほど多忙な生活を送っているはずなのに、映画の撮影が終われば明るいうちに娘を連れて帰宅し、自炊して夕飯を食べるという、あまりにも不自然な日常が描かれているのである。
そんなスズ子のスターらしからぬ生活ぶりに加えて、りつ子との不仲を演出する記者・鮫島の行動もまた、あまりにも不自然だという。
「鮫島は撮影所の建物に勝手に入り込んではスズ子を直撃。しかもスズ子を守るべきマネージャーの山下は愛子の世話に忙しく、スズ子と鮫島を二人っきりにして去っていく有様です。いくら記者とは言えど、撮影所は関係者以外立ち入り禁止のはず。それともNHKでは誰でも局舎内に勝手に立ち入ることができるのでしょうか? ストーリーありきのあり得ない場面設定には呆れるばかりです」(前出・週刊誌記者)
2022年前期の「ちむどんどん」は時代考証や料理考証をないがしろにした演出が猛批判を浴びていたもの。実のところ「ブギウギ」も同作に匹敵するレベルで、いい加減な状況設定が多すぎるのではないだろうか。
ショー出演や映画撮影に忙しい人気芸能人が、誰の助けも借りずに子育てをしていること自体、子育て中の視聴者にとっては噴飯もの。頭を怪我している2歳の娘が、自宅の近くに来るまで一度も抱っこされることなく歩いてきたというあり得ない描写には、もはや怒りすら感じる視聴者もいたようだ。