もう、そういう物語なんだと納得するしかないのか。残念がる視聴者もいたようだ。
3月4日放送のNHK連続テレビ小説「ブギウギ」第107回では、ヒロインのスズ子(趣里)にアメリカ巡業の話が持ち上がることに。だが昭和25年当時の日本はまだGHQの施政下にあり、娘の愛子には渡米許可が下りないという。
4カ月にもわたるアメリカ巡業のあいだ、愛する娘とは離れてしまうことに。ここでマネージャーの柴本(三浦獠太)がうっかりスズ子の渡米を愛子に漏らしてしまうと、まだ幼い愛子は「いやや~!」と号泣。スズ子は人気歌手と母親という二つの立場で板挟みになってしまったのだった。
「この展開に驚いた視聴者も少なくなかったことでしょう。本作はブギの女王こと笠置シヅ子の生涯をモデルにした作品であり、昭和25年のアメリカ巡業は笠置の歌手人生にとって大きなトピックの一つだからです。先週の次週予告ではいよいよアメリカに渡ることが示唆されていましたが、まさかアメリカに行くかどうか悩む姿を丸一話分見せられるとは、視聴者のほうも思いもよらなかったのでは」(芸能ライター)
笠置のアメリカ巡業を語るとき、外せないエピソードがある。当時、美空ひばりが笠置の持ち歌を歌って人気を博しており「ベビー笠置」と呼ばれていたが、その美空が笠置より一カ月早くアメリカ巡業に旅立ち、多くの観客を集めていたのだった。
それゆえ視聴者としても、「ブギウギ」版の美空ひばりは誰が演じるのかと興味津々だったはず。公式サイトの人物相関図には美空ひばりに相当する登場人物がいないこともあり、隠し玉の存在に期待も高まっているのである。
「ところが第107回のスズ子は『歌手である前に普通の人間、普通の母親でありたいと思てたんです』と、およそ笠置らしくないセリフを口にすることに。スズ子の活躍を期待している視聴者としては、こんなお涙頂戴の展開ではなく、もっと歌手としてのエピソードを前面に押し出してほしいとやきもきしていたことでしょう」(前出・芸能ライター)
果たしてスズ子はいつアメリカに旅立つのか。そもそもハワイやロサンゼルスでの公演はきっちり描かれるのか。今後の展開次第では、視聴者の落胆を呼ぶ可能性もありそうだ。