1月に放送が始まり3月に最終回を迎えた前クールドラマの中で、視聴満足度の高かったドラマに共通する興味深い傾向があった。
「ふてほど」こと阿部サダヲが主演を務めた「不適切にもほどがある!」(TBS系)、木梨憲武と奈緒がW主演した「春になったら」(フジテレビ系)、「おっパン」こと原田泰造が主演した「おっさんのパンツがなんだっていいじゃないか!」(フジテレビ系)の3作品を支持する声が目立ったのだが、3作品とも親子の絆を主軸に描かれていたのだ。
「ふてほど」と「春になったら」は父と娘、「おっパン」は父と息子の心の交流が視聴者の胸を打ち、昭和時代に台頭したホームドラマとはひと味違う、新時代ホームドラマの幕開けを感じさせた。
「1980年代からトレンディドラマと呼ばれる、社会背景とラブストーリーを融合させた内容のドラマが数多く制作されていましたが、今後は恋人関係より親子関係を描くドラマのほうが増えていくような予感がします。恋愛は誰もが経験する人間関係の1つでしたが、令和の現在はそうとも言い切れません。『恋愛・結婚調査2023』(リクルートブライダル総研調べ)によると、交際経験のない20代男性は46.0%、女性は29.8%もいるそうです。ということは、ラブストーリーを見ても共感できず、意味が通じない人も少なくないということ。しかし親子の物語なら、より多くの人が体験する関係です。気持ちが動かされたり、さまざまな発見ができたりするテーマとして、形を変えて昭和から戻って来たのではないでしょうか」(テレビ誌ライター)
2018年に連ドラとして放送が始まりシリーズ化された「ぎぼむす」こと綾瀬はるか主演の「義母と娘のブルース」(TBS系)は、タイトルにもあるように義母と娘の親子関係が描かれて人気を博した。次に話題となる「令和のホームドラマ」では、どんな親子関係が描かれるだろうか。