また1人、新たなサムライブルーが超名門クラブのハートをワシづかみにしたようだ。シュツットガルトに所属するサッカー日本代表DF伊藤洋輝が6月13日、ドイツ屈指の強豪バイエルン・ミュンヘンへの移籍報道でファンを驚かせている。
現在25歳の伊藤は2022年よりブンデスリーガ・シュツットガルトへ完全移籍し、今シーズンはリーグ戦26試合出場で2アシスト。無敗優勝を達成したレヴァークーゼンに次ぐ2位でフィニッシュし、来季は欧州最強を決めるUEFAチャンピオンズリーグへの出場権も獲得していた。
左サイドバックを主戦場とし、縦への推進力と鋭いクロスを持ち味とする伊藤について、電撃ニュースが入ったのは日本時間13日の未明だった。ドイツの日刊紙「BILD」や、移籍マーケットに精通する著名ジャーナリスト・ファブリツィオ・ロマーノ氏ら、有力な情報筋がそろって伊藤のバイエルン移籍を伝え、世界的名門クラブがシュツットガルトに契約解除金3000万ユーロ(約50億7000万円)を支払うことで合意に達したという。
バイエルンでは、今夏に新指揮官ヴァンサン・コンパニを迎え入れ、現在はチームの再編に取り掛かっている真っ只中。また、伊藤のポジションである左サイドバックには世界最高峰の呼び声も高いカナダ代表DFアルフォンソ・デイヴィスが長く君臨してきたが、この夏のレアル・マドリード移籍が濃厚とされており、同ポジションの後釜探しが急務となっていた。
「デイヴィスは左サイドバックとして世界で3本の指に入るほどの実力者で、その代役に伊藤が選ばれたとすれば、相当な期待をされているということになります。特筆すべきは今季の伊藤が見せた“ユーティリティ化”で、得意の左サイドバックだけでなく、センターバック(CB)としてもチームに貢献した点です。世界市場を見ても、左利きでCBとサイドバックを高いレベルでこなすことができる選手は希少価値が高いとみなされており、現役時代にCBとして活躍したコンパニ新監督が注目したのは伊藤のそうした特性の強みだった可能性は高いです。加えて、188cmという日本人離れした長身は、バイエルンでも十分に通用するもので、50億円ものバイアウト条項を発動させたのは彼らが“本気”だという証明でしょう」(スポーツライター)
近年では、DF冨安健洋のイングランド名門アーセナル加入や、MF遠藤航の同国リヴァプール移籍など、日本代表選手によるビッグクラブ移籍が相次いでいる。伊藤の場合、これまでにバイエルンからの関心がいっさい報じられていない中での移籍報道となり、サポーターにとって大きなサプライズニュースとなった格好だ。
(木村慎吾)